pokotan_RXのブログ

適当にアニメのことを書いてると思います。

アニメ『トクナナ』が楽しく見れるお話【捕捉】

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違う世界、違う東京。
そこはエルフやドワーフと言ったゲームか何かでしか
見たことない“異種族”が住まう平穏な日本。
変わらぬ平和、変わらぬ日常。
そこに潜むは異質な
古のドラゴンの力を求める、忘却の彷徨からやってきた反逆者。

その名を『ナイン』

これは『ナイン』の凶悪犯罪に立ち向かう7人の刑事たちの物語


【ささら・つづみ】アニメ『トクナナ』を楽しく見るお話【CeVIO】 - YouTube


もくじ

  • 動画を作った動機
  • 面白かったですか?
  • 残念だなと思うところ
  • 爆笑シーン
  • 気合十分

□動画を作った動機

ニコニコで視聴してた時、おそらく約一名がずーーーと文句を言ってたんですよね。
歯牙にもかけていなかったので内容までは覚えていませんが、いったい何がその人を駆り立てたんでしょうね?
こんな単純明快な話を理解できなかったということはないでしょう。

はっきりしているのは、
・自分の不満を知ってもらうためにわざわざコメントを残した。
・取るに足らない目的のために23分40秒を13回も繰り返した。
ってところですかね。

もっと有意義な時間の使い方ってのがあったと思うんですよ。
せっかく見るんなら楽しく見ようよ。
そういう気持ちから今回の動画を作りました。

#少し邪推になりますが製作のANIMA&Co.って、ちょっと前に作画崩壊で悪名が付いたNAZと同じ(?)なんですよね。
#どうして名前が違うのか?製作所は実際には違うのか?
#その辺の事情はよく分かりませんが敬遠する人にとっては知ったことでもないでしょう。
#もしかして「NAZ相手なら非難してもいい」とかいうくだらない理由で動いていたわけじゃないですよね。
#そうではないと信じたい。
#僕にもう少し人間を信じる勇気をください。


□面白かったですか?

面白さの基準をクオリティで求めているのなら
「さほど面白くなかった」とはっきり言います。
でもクオリティってなんですかね?

 

絵の奇麗さですかね?
確かに華麗なグラフィックで圧巻するアニメ作品もありますし、
見ているときは感動すらします。
ですが同時に「きれいな絵を見たいだけなら美術館へ行け」とも思うんですよね。
あまり絵にこだわりはないんです、僕(´・ω・`)

 

ストーリーの良さですかね?
この点に関しても『トクナナ』は特段見所はないですね。
あとでもう一度触れますけれど作りこみが足りないです。

キャラクターは良かったんじゃないですかね。
この作品で数少ない好評ポイントだと思います。
ベルちゃんの可愛さにはだいぶ助けられましたね。

 

このキャラの立て方がすごくFEARゲーっぽいなって思ったところでもあります。
動画では冗長になるので割愛しましたが、FEARゲーにはシーン制の他にフェーズってのがあるんですよね。
オープニングフェーズ、ミドルフェーズ、クライマックスフェーズという具合に。
そして、それぞれのフェーズは各プレイヤーのシーンを最低でも1回ずつやらないといけないんですよ。
#個人的にはこのルールは「かったるいな」って思うんですが、まあそこは一長一短です。

 

『トクナナ』も話が進展する前に必ず各キャラのシーンが入るんですよね。
これがすごくFEARゲーしてるなって感じたんです。
実際に製作スタッフがTRPGを意識しているか、
それどころか知ってるかどうかもわかりませんが、
出番を増やす演出は意識していたと思います。
こうでもしないと四季彩とベルと遠藤はモブになってしまいますからね。

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結果的にキャラは立っていたと思います。
キャラを立てるためにお話があるようにさえも思えます。
でもまあ、いいんじゃないですかね。
そういうアニメがあっても。
そうは思いません?


□残念だなと思うところ

異種族という設定が空気だったのが残念ですね。
個人的にはヴァンパイアホムンクルス「温室野菜」呼ばわりしたり、
エルフドワーフのドは土人のド」とか言ったりするんだと思ってました。
そんな感じで普段は平気で差別発言をするのに
事件になると息がぴったり合うんですよ。
前情報からはそんな粗野な荒くれものを期待してたんですよね。

 

センシティブな問題だから避けたのか、
あるいは最初からそんなものを作る気がなかったのか。
まあ「外見以外は人間と変わらない」という逃げ口を
用意しているぐらいですし、後者っぽいですよね。

 

10歩譲って差別がないのはいいとしても長所もないのはいかんともしがたいですよね。
「お互いの長所を生かして協力し合う」という演出もできたはずなのですから。
それすらないのなら「全部人間でよかったんじゃね?」ってなってしまいます。
一応種族間のわだかまりがなくなるまでの歴史があるのでテーマとして異種族設定は生かされてはいるのですが、いまいちパンチが弱かったですね。

 

弱いと感じるのには明確な理由があります。
先ほど言いかけてた作りこみの足りなさです。
「異種族全部含めて人間だ!」
とするのなら種族の違いはもう少しはっきりと表現してほしかった。
最初から融和していたのでメリハリがなく結果的に
異種族がいなくても変わらない社会になってしまったかと。

 

ウォーロックを人間として裁く」という結末はとても良かったです。
ですが「人間が勝った」というより「トクナナのメンバーが勝った」という印象でしたね。
もちろんトクナナメンバーの中に「異種族が混在する社会」を描いているという演出意図はわかりますが、それが弱いんですよ。

 

つまるところ「社会が描ききれてない」ってことが原因なんですよね。
「異種族がいる現代日本によく似た社会」があまりにふわっとしすぎているせいで要所要所で締まらないんです。

「さっきから文句ばかり。さてはアンチだなオメー」
とか言われちゃいそうですが、いいところも悪いところも受け入れられるからこそ好きになれるのですよ。
こうなってしまった理由も何となく察しがつくんです。

 

仮に前述したように種族間の差別意識があり、最終決戦を前にしてわだかまりを解消して、一致団結して勝利を得るというプロットで話を書いたとしましょう。
尺の都合で喧嘩の理由がよくわからず、ただギスギスした空気だけがあって、これまた尺の都合で二言三言で仲直りをし、うすら寒いきれいごとを並べて勝利するという三文芝居が展開されてたことでしょう。
そうなれば「陳腐だ。子供だましだ」といった感想が返ってきたでしょう。

人間は一筋縄でも一枚岩でもないから社会を描くのはとても難しいことなんです。
たとえそれが我々のよく知っている現代社会と寸分変わらないものだったとしても。
#だからどいつもこいつも異世界に逃げるんですかね?(´・ω・`)

 

現代にファンタジーで見かける異種族がいるという世界観はとても魅力的です。
そこにリアリティを持たせようとするのなら入念な作りこみが必要です。
世界観は物語を乗せる土台なので、しっかりと作らなければなりません。
その労力は半端ないんです。

1回放送したら使い捨てられるオリジナルアニメで、そのリソースを割けますか!?


動画で言ってた「難しいことをして失敗するぐらいなら王道に乗った方がいい」とはこういうことです。
たぶん作りこみよりも、やりたいことを優先したんでしょうね。
製作スタッフも楽しんで作ってたんだなって雰囲気が伝わってきました。
まあだから、上記の残念な点はこの作品の伸びしろと割り切ってキャラクターたちのドタバタ活劇を楽しむことができたわけですよ。

 

余談ですが、動画で『西部警察』を引き合いに出しましたが原題が『Alliance7』ってことは『ワイルド7』の方が元ネタだったんでしょうね。
残念ながら僕は『ワイルド7』を2011年に作られた映画を一回見たっきりなので、すぐにはこのタイトルが出てきませんでした。


□爆笑シーン

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このシーンは何度見直しても笑っちゃう。
いや、顔の傷が目立つから隠してただけって意図はわかりますけど、
その耳の横についているもっと目立つものは取らなくていいのかよと!
何?固定されてるの?ボルトでも入ってるの?
まじめなトーンでギャグやってますよね。

 

それはそうと三潴ルカの結末に関しては疑問の声がありましたね。
ウォーロックは法で裁くのに、操られていたとはいえ実行犯の1人であるルカを放置するのはどうなのかと。
もっともな疑問だと思います。
テーマがブレちゃうしな(´・ω・`)

 

『ナイン』の芽は日本だけじゃなく世界各地に散らばっている。
それを潰せるのは「ウォーロックの右腕」という顔があるルカだけだ。
法の裁きを受けている暇はない。

 

と勝手に解釈してますが、思わせぶりなセリフの応酬じゃなくってもうちょいわかりやすくしてくれても良かったんじゃないですかね?(´・ω・`)

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□気合十分

製作チームが気合を入れていたことがわかる物的証拠(?)がいくつかあります。
まず1つ目は本編で一切使われることのないカットばかりのティザーPV
「あれ?こんなお話だったっけ?」って思うぐらいにかっこいいです。
#動画で使おうと思ったのですが雰囲気が合わなかったのでやめたのはここだけの秘密。

 

2つ目は一ノ瀬栞と三潴ルカがコンビを組んでいたころの過去話を描いたスピンオフの漫画版。
『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 トクナナ File0』
始終謎の人物としか描かれていない三潴ルカの人となりがわかる一品となってます。
また、この作品を読んでいればアニメの最終回で一ノ瀬が七月を「相棒」と呼ぶシーンの見え方か変わります。
妙に期待値だけ上げるのもなんですから言っておきますけど、何か特別なことをしているわけじゃないですよ。
バディー物として王道の話が展開されていました。
ただ、それでも人となりがわかってくれば見え方が変わってくることもあるということです。
いつまで無料かわかりませんが、こちらのサイトで公開されていますので気になった方は一読ください。

https://comic.pixiv.net/works/5814

 

漫画版と言えばアニメシリーズの内容をコミカライズしたものもありますね。
こっちは残念ながらチェックしていません(´・ω・`)
その……この作品に限ったことじゃないのですがアニメ本編の内容を後追いしたコミカライズって放送が終わった後も続くうえに内容もさして変わらないからモチベーションが続かないんですよね。
もちろん漫画版ならではの表現もあるのでしょうが、それがどれほど「売り」になるかは本編のクオリティ次第ですよね。

 

3つ目は円盤特典のOVA
『File.0.5「一年前、二条クジャクの憂い」』
タイトル通りの二条クジャクの確執を描いた過去話です。
本編は基本的に一ノ瀬と七月の視点で描かれており、二条は陰で睨みつけてくるだけでした。
なので番外編という形ではありますが二条視点が描かれることでスッキリしますね。
#総集編がなければ本編に入る予定でもあったのかな?
有料ですがチャンネルからも見ることができます。

 

4つ目は2冊出たドラマCDです。
残念ながらこちらもチェックしてません。
っていうかこのブロマガを書いてるときに気づきました(´・ω・`)
異種族交流の合コンはちょっと興味ありますねw

お話を作るとなると製作チームががんばってくれないと出せないものなので、この辺からも気合は十分に感じられると思います。
特にドラマCDなんて単語は久しぶりに聞いた気がします。
ソシャゲとか強力なバックボーンがある作品ならいざ知らず、オリジナルアニメで円盤特典ではなく販売でドラマCDというのは、ここ2~3年の事例で見れば珍しい方でしょう。

製作も頑張ってたんだよってのが少しでも伝わったでしょうか?
ポコタンはなんだか不遇なANIMA&Co.を応援しております。

アニメ『エガオノダイカ』がよくわかるお話【補足】

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それは遠い星の、2人の女の子のお話。
1人は王国の姫、もう1人は帝国の一兵士。
決して出会うことのない2人が巡り合ったとき、
世界は音を立てて変わった……。

 タツノコプロ55周年に作られたオリジナルアニメ『エガオノダイカ』は残念ながら爆死アニメである。どんなに熱く語っても、その事実が変わることはない。

【ささら・つづみ】アニメ『エガオノダイカ』がよくわかるお話【CeVIO】 - YouTube


もくじ

  • よくできた演出と受けない理由+ちょっと長い語り
  • ユウキが天に祈れば恵みの雨が降る
  • ロボットじゃなくてもよかったんじゃね?
  • 無用な混乱を……しない?(追記)
  • エンターテイメントしていない?(追記)

■よくできた演出と受けない理由

 この作品の話題で誉め言葉を聞いたことがないので、まずは良かった点から語っていきましょう。誰も気づかないのか、あるいは僕の思い過ごしなのかわからないけど、演出は本当によくできているんです。お世辞抜きで思ってます。

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 ひとつ例を挙げると、第4話でリーシュから住民を避難させるシーンなんかよくできてます。視聴者なんて、自分も含めてみんなボンクラばかりですから劇中で1回か2回発言した固有名詞なんて覚えてません。なので何が起きた街なのかを軽く回想し、現在の姿を見せます。
 その際普通の街では絶対に見かけない謎のモニュメントを用意します。平和記念に作られたと一応説明されますが、それを視聴者が理解する必要はありません。
 これから悲劇が起こる街はここであるということを視覚的に印象付けているのです。
#このモニュメントが、まぁ……はっきり言ってダサいんですよね(´・ω・`) 現実にもこういうわけのわからないモニュメントってたくさんあるのでリアルなのかもしれませんが。奇麗さやカッコよさではなく、いかに記憶に残るかに重点を当てて意図的にセンスを外してデザインしたんでしょうね。
 モニュメント=リーシュという印象付けをすることでシーンが変わってもどの街の話をしているのかを理解できるようにしてあります。
そして極めつけは平和の象徴をわざわざ倒壊させること。
 これをすることによってユウキの判断がただ犠牲を増やしただけでなく、取り返しのつかない失敗であったことを演出しているんです。
#このシーン、ゲラゲラ笑って見てました。血を流すよりもよっぽど痛ましく、効果的に演出してることに気づいて、1周回って笑いが出ました。

 

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 それからロボットの表現も「うまい手抜きしてるな」って感心してました。
 破壊される場所をクローズアップで映して、少ない労力で派手さとリアリティを表現しているんです。また出てくるロボットは量産機なので誰が乗っているかは前後のカットのつなぎと動きだけで表現してます。はえどれもこれも昭和のころに完成された工夫なんですけどね。
 ま、技法に新旧はないですし、限られたリソースをやりくりした努力の跡と僕は見ていたんですけどねぇ……。どうやら世間の評価は逆だったようですね。
 弾丸が当たった個所に傷や汚れがつかないことをやり玉に挙げて「リアルじゃない」っという声の方が大きかったですね。CG技術向上で水準が上がったというのは理解しますが、全部の作品でそれやらなくちゃいけないんですかね?逆にそのひと手間をかけることで批判してた人の評価が180度変わるんですかね?違いますよね?結局ひとつ気に入らないところがあるから重箱の隅をつつくようにイチャモンつけてるだけですよね。逆にひとつ気に入るところがあれば些細なことと擁護するんですよね。
今現在僕がしているように(・言・)
#自分で書いててくだらない擁護だなと思うし、いい年したおっさんが架空の敵と喧嘩しててみっともないなと思うのですが、今回の動画を作ったきっかけがここだったんですよ。お暇な方は生暖かい目でゆる~~くお付き合いください。

 どんなにいいところがあっても気づかれず、ボロクソに言われて慰み者にされるこの現状はどうして起こるのか?
 答えはいたってシンプル。
つまらないから。
 この一言に尽きます。
 娯楽があふれてる昨今、スルメを噛むようにつまらない作品の面白さを理解するまで繰り返し見る必要性はまったくもって無いです。
だからって視聴者が理解力を養わなくていい理由にはなりません。
#その訓練を『エガオノダイカ』でやる必要もないですがね(´・ω・`)

 娯楽って湯水のように無限に湧いてくるものじゃないと思うんですよね。
 娯楽を最初に発信する「一次生産」をしている人は、それはそれは一生懸命考えて作ってるわけですよ。一生懸命作れば必ず面白くなるわけじゃないですけど、だからってけなしていいわけじゃないんですよ。「〇〇が面白い」だけを言い続けてれば流行に便乗した安易な「二次三次」が量産されるわけで、本当の意味での娯楽がどんどんなくなっていきます。
 それに何より他者を貶めたところであなた自身が偉くなるわけじゃないんですよ。であるならばつまらない悪口を叩いてる暇があったら己の見識を広める努力をしたらどうなんだと!
 娯楽を食い潰してるのは、何の苦労もせずにただ享受してるだけのくせに文句だけを一丁前に吐く視聴者に他ならないんです!

……あー、なるほど。こうやって意識の高さをむやみに振りかざすから“高二病”と鼻で笑われるのか。

 この“高二病”って言葉を知ったことも含めて、ホントいろいろと考えさせられるお話でした。話がそれたついでにちょっと余談をします。
 僕はコレを“ロック”なんだと思ってましたよ。ロックの根源って世間に対するままならぬ想いじゃないですか。だから「盗んだバイクで走りだ」したり「言いたいことも言えないこんな世の中」と毒を吐いたりするわけじゃないですか。自分の認識する世界と世間の食い違い、齟齬、軋轢。そういったものを拗らせたのがロックだと考えます(もちろん他のとらえ方もありますが、ここではロックを語りたいわけじゃないので割愛します)。
 そもそもロックミュージックって売れない音楽の代名詞的に言われてた時代があったんですよ。その反社会的な内容から大人たちは「ロックなんか聞いてるんじゃねぇ」と頭ごなしに否定し、その反発から若者はロックに夢中になっていったんです。そして、その中の一握りが大衆の共感を得てヒット曲へと成りあがっていったんです。
 そうです。受ける受けないの境界は「共感できるかどうか」なんです。売れるロックと売れないロックがあるのは共感できるロックとできないロックがあるにすぎないんです。だから高二病を拗らせた人はロックの素質が十分にあります。あとはそれを共感できる形で表現するだけです。
#まあ、まずは他人を見下す態度を改めるところからスタートかな(´・ω・`)

 僕は『エガオノダイカ』が好きです。つまり共感してるんです。
「どこに( ̄ー ̄?)」
と真顔で問いただされそうなので一例をあげます。動画でもチラッとだけ書きましたが、第6話のピアースがポイントレーザーを照射するシーンです。

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「うんうん。わかる。俺でもそうする!」
と食い入る勢いで見てました。うん……わっかんね~んだろうなぁ……。
 あのレーザーは「ここに攻撃してくれ」という要請なんです。自分が死に瀕する怪我を負ってもなお帝国の勝利のために「コイツだけは殺さなくちゃいけない」という決死の覚悟なんです。第6話は王国側の視点で描かれているので帝国兵のセリフはうめき声ひとつとてありません。それなのにピアースの覚悟をたった数秒で描くのって本当はすごいことなんですよ。
 それから救出に向かうステラ。時間稼ぎをするゲイル。しかも撤退するときに追撃されないようにハロルドのホバー翼を切ってから行く抜け目のなさ。撤退時には背を向けるゲイル機のカバーに入る連係。セリフがないはずなのに会話が聞こえてきそうです。繰り返しますけど実はすごいことしてるんですよ。気になったらこのシーンはもう一度見直してください。
 でもまぁ、多くの視聴者が見たいのはこういうところじゃないんだろうなぁ(´・ω・`)


■ユウキが天に祈れば恵みの雨が降る

 テラフォーミングをしたナノマシーンは自己増殖をする。ということは増えすぎて弊害が起きる可能性もあったと考えられます。であるならばコントロールする手段があったとしても不思議ではありません。それは技術がなくなった後も有効でなければなりません。なのでこの星に移住した先文明の人はコントロールキーを遺伝子に組み込んだわけです。それは脈々と女系に伝わり、ユウキ・ソレイユがそのひとりであるというわけです。ひょっとしたら天災を回避する程度の気象コントロールぐらいできるんじゃないかなっと……。
 どうしてそんな途方もないことを考え出したかというと、ラストシーンの説明をつけるためです。

 第9話の説明だとクラルス停止のメカニズムがちょっとわかりづらいのです。ナノマシンを過剰消費しすぎたのか、あるいはクラルスがオーバーヒートしたのか。どちらにしても時間経過とともに元に戻るわけですよね。
ってことは同じ現象を惑星規模でやっても元の木阿弥です。
 将来にわたってクラルスを使用できなくするのが本来の目的であったのなら、ナノマシンのプログラムを書き換えてクラルスと反応しないようにしなければいけません。先文明の人がその手段を残していたとしても不思議ではありませんが、そうコロコロ書き換えられても困りものです。こういう大事なことは管理者権限の元行われなければいけません。そのマスターキーも遺伝子に組み込まれていたのではないでしょうか?

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 おそらく最初の研究者は3人いたんですよ。その子孫がそれぞれソレイユグランディーガベルデの国を作ったんです。そして管理者権限の実行には責任者の過半数、すなわち3家の子孫の内2家以上の承認を必要とするのでしょう。その方がセキュリティがしっかりします。
 ユウキ・ソレイユは言うまでもなく責任者のひとりです。そしてステラ・エトワールレイラ・エトワールは現皇帝によって地位を追われた王家だったのではないかと考えます。そして帝国軍参謀長のアイネ・フリートは今は亡きベルデ皇国の皇族。帝国に潜入して復讐の機会を狙っていた…(フリートというのは偽名でしょう。ソレイユ(太陽)、エトワール(星)ときたらリュネ(月)?)。この4人の内2人で同時に起動スイッチを押す必要があった(しかも血縁関係のない組み合わせ)。
という設定があったんじゃないかな、と想像したんです。

 半分以上は妄想ですがプログラムの書き換えはあったんじゃないかな?そうすれば動画内での疑問視した「新しくジェネレータを作ったら起動するか?」に対する解が得られます。それ以外で説明しようとすると「地中にある未発掘のクラルスラピスを含めて惑星すべてのクラルスを使い物にならなくなるレベルで焼き切った」ということになります。
……どっちでもいいんですけどね(´・ω・`)


■ロボットじゃなくてもよかったんじゃね?

 動画でも少し触れましたが「ロボットもの」と紹介される割にはカニックを描写するシーンは少ないです。例えば開くシャッターの隙間から差し込む光がメカのシルエットを徐々に映し出すとか発進シークエンスとか、そういうの。先にもロボットの描写を「うまく手抜きしてる」と感心してましたが、手抜きしてることには変わりないんですよね。作り手側も「ロボットもの」という意識がなかったかもしれませんね。

 思うに兵器はパイロットむき出しのホバーバイクとかでも良かったんじゃないですかね?そしてバリアビームで応酬するんです。これなら新型クラルスの出力の高さを視覚的にわかりやすくできたんじゃないかなと。
#それからパイロットスーツはボディラインがわかるぴっちりしたヤツで、なぜか女性隊員のほうが多くって……予算降りると思うよ┐(´ー`)┌

 別に「僕のアイデアのほうが面白い」とかいうつまらない主張をしたいわけじゃないですよ。こういうのは後出しだから出てくるのであって作ってるときには、その人たちの思惑があるものです。キービジュアルが映えるとか戦闘シーンの描き方に応用が利くとかスパロボでワンチャンあるとか?
 テウルギアのデザインは王国、帝国ともに好きだったので、パッとしなかったのが残念です。



 他にも「クラルスが意味するものは何だったのか?」とか「どうして年端もいかない少女を主人公にしたのか?」とかいろいろ考えたのですが政治色が強くなってきたので割愛します。書いてて面白くなかったし、読んでも面白くないでしょう。
#っていうか今まで面白いもの書けてたか?動画に収まりきらなかった感想を書いてるだけとはいえ、結局ネガティブな内容のほうが多いしな(´・ω・`) こんなはずじゃなかったのに……。

 最後に動画内で言ってた「好きだけど面白くない」の意味だけ答えておきましょう。好きじゃなければここまであれこれ考えません。しかし面白いと褒めることもできない。そんなジレンマです。そして面白くないと思ってしまう最大の原因は腑に落ちない最終回です。
 製作サイドの事情を察することはできても、結局僕も一視聴者なので作品という結果でしか評価はできません。実に惜しいことです。
 ポコタンは子供のころからお世話になっているタツノコプロをこれからも応援しております。


追記分

■無用な混乱を……しない?

 コメントでツッコまれてましたが、う~~ん。そんなにわからないかな(´・ω・`)
 たぶん余計なことを考えすぎなんじゃないかな?王国側のエピソードの時は帝国のことは考えず、逆に帝国側の時は王国の事情に気を取られずに見ていればいいんですよ。時系列も無駄に前後しないので素直に順番通りに見ればいいんですよ。図にするとこんな感じです。

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 第9話と第10話だけは時間軸が被りますが、どちらも重要キャラの死ぬお話なので仕方がないですよね。理解の妨げになる程のことではないでしょう。
#むしろ残り2話しかないのにのんびり話を進めてていいのかって不安のほうがもたげてきます(´・ω・`)

 第5話の「王国の強いテウルギアに搭乗しているのは誰か」ってところなんかは割りと疑問に思う人が多かったと思います。特に放送当時は「サイボーグ・ヨシュアが乗ってる」といった流言飛語が飛び交っていました。第6話でルネが怪我をしていたことで彼女のテウルギアだったとわかるように作られていましたが大事なのはそこじゃないんです。見るべきポイントは第5話は帝国側の話だってことです。

 

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 膠着した戦線を切り開くためにビュルガー分隊は夜間の奇襲を命じられる。その際いくつかのトラブルがあり、ケガの功名でゲイル隊長への不信感が解ける。また視聴者にはステラの知られざる一面を視ることができる。

 それだけわかればいいんです。ドラマはそれしか描かれていません。変わりつつある分隊の関係。変わらず続く王都への進軍。そういった余韻を次回以降の楽しみにしておけばいいんです。
 見方がわかればなんてことないんだけどなぁ……。こんなこと言ってると「お前にとってはそうなんだろうな」って返ってきそうですが、些細なことにこだわらず、物語のあるがままを見ればいいと割り切れば、決して難しいお話じゃないです。
エピローグを除いてな(´・ω・`)


■エンターテイメントしていない?

 ロボットに乗って戦争をし、両陣営を描いている。この条件を満たす他作品を見ると戦闘中に無線通信しているわけでもないのに相手兵士と会話するシーンがたいていありますよね。ましてや密閉したコックピットで相手が見えていないにもかかわらずお互い認識してますよね。現実的に考えたらありえないですよね。
 実際の戦争でも何度か相まみえると「アイツかな」ぐらいにはわかってくるそうですが、会話をする余裕はないですよね。第9話第10話のハロルドとゲイルがちょうどそんな感じで描かれていました。つまり『エガオノダイカ』はリアル寄りに描写されているわけです。問題はそのリアルの追及が面白さにつながっていないことです。なぜこのようなことが起きるのか?
 時代劇ですらチャンバラの最中に相手と会話をすることがあります。息を抜けば相手の真剣が自分に振り降ろされるのにもかかわらず。また命をかけた戦いをしている最中に言葉を考えている余裕なんてあるでしょうか?現実的に考えて“できっこない”ことなんですよね。
しかし、その“できっこない”をしれっとやるのがエンターテイメントなのです。

 では『エガオノダイカ』はエンターテイメントしていないのか?「できっこないことをしれっとやる」という点においてはその限りではありません。例えば第8話の冒頭でちょろっとだけダイジェストされた姫様無双のシーン。「散発的に襲撃にくる敵の戦力を正確に読む」とかいう予知能力めいたことをさらっとやってます。恐らく衛星が使えないであろうこの世界観で、どうやったらそんなことができるのか?捕虜になったイザナがスパイをしてて情報をリークしてたんじゃないかと疑ったぐらいです。実際には自国内の出来事なので、ちゃんとした情報網があったのでしょうが……。
 このようにユウキちゃんがミラクルな活躍をしているシーンはさらっと流されていたわけです。これをエンターテイメントと呼ぶには情緒がないですよね。まあ、全編通してそんな感じなんですよ。

 では動画で言ってた「ドキュメンタリーとしての楽しみ方」はどうなのか?まずは面白いドキュメンタリーはどんなものか考えてみましょう。現実の話でありながら物語めいた成功を収めたりするのが面白いドキュメンタリーのひとつかな。この観点で『エガオノダイカ』を振り返ってみましょう。

 帝国の進軍は王国にとって絶体絶命の危機であった。その圧倒的な戦力差に立ち向かうために新型クラルスを導入するも、それは環境破壊を加速させるものだった。国を、人々を、星を守るため、少女は決断をする。クラルスの停止。それは人類にさらなる試練を課すものであろう。しかし少女はその先にある明るい未来を信じ、祈り続けた……。

 物語の筋だけ見るとそこそこいいピースがそろってると思うんですよね。これをドキュメンタリー風に仕上げていくにはどうしたらいいか。主人公の努力はことごとく空振りに終わるが、それでもあきらめずに続けていく。その過程で理解者を得ていき、最後には大きな障害を乗り越えていく。こんな感じですかね。

 主人公の努力が空振りに終わるの部分は、もう見るに堪えないほど描かれているので説明不要ですね。
 理解者を得ていく過程はちょっと説明が必要です。ユニとルネの双子は第2話のヨシュアの死をもって。イザナは第6話のユウキが有無を言わせぬ指揮を執る姿を見たとき。ジェイムズは第8話、反抗的な態度をとる辺境伯を許す度量の深さを見たとき。ハロルドでさえもユウキの作る未来を信じようとしていました。
 そしてレイラ。彼女は帝国の内情を一番よく知っている。それこそ感情論なんかじゃ帝国を変えられないことぐらいわかりきっているのでしょう。だからこそ最後まで反対の立場をとる(とっていた?)のです。ユウキが帝国を変えうるに足る力を得るその日まで。
 このように理解者を得る過程は物語の中で描かれています。惜しむらくはそれが視聴者の心に届くほど濃厚な描写ではなく、さらっと流されてしまったことでしょうか(´・ω・`) 監督はこういうのを描くのが恥ずかしいんでしょうかね?

 しかしこれらは些細な問題です。やはり一番の難所は「大きな障害を乗り越える」描写のなさでしょうね。世界中すべてのクラルスを停止させるなんて暴挙をしたのですからユウキの信頼は一度地に落ちるでしょうね。帝国兵も帰る足がないから居残っているのであって、王国の小娘の言葉なんかに耳を貸さないでしょう。
それが半年足らずで停戦にまで持ち込めたのだから、どんな魔法を使ったんだという話ですよね。

 劇中の情報から想像できるのは動画でも言ったように復興を通じて触れ合い、少しずつ心を開いてもらうという地道なもの。ユウキに残された手札は気合根性、それと笑顔だけなのだから。サブタイトルの『笑顔の代価』もこのように解釈するべきなのでしょう。
#心無い視聴者の中には姫様の暴挙の結果、笑う人がいなくなってしまったのが代価だと解釈した人もいるようですが(´・ω・`)
 とはいえ、これも僕の希望的観測に基づいた解釈のひとつでしかないので正解はわかりません。ここまで真剣に見直してなお「わからない」と言われてしまう作品作りもどうなのかと思わないでもないですが、余韻は視聴者の胸に託すって作りも一般論としてはアリだと思います。で・す・が、この作品をドキュメンタリーとして楽しいものにするなら、やはり最後の「障害を乗り越える」はスルーしちゃダメですよね。そんなことしたら逃げですよね。
だからダイジェストにしてでも
ねじ込んだんですよね!(`・ω・´)

 ホント、「たられば」を言っても仕方ないのですが13話でできていればなあ……。もうちょいスッキリと終われたと思うんだよな。第13話のタイトルはもちろん『笑顔の大華』ですよ。メインタイトルをカタガナにしたのはダブルミーニングとかあるのでしょうし。

 このように視聴者の心に届くよう熱量を込めて描いて欲しいところはさらっと流し、最大のカタルシスが得られるであろうラストシーンがダイジェストになってしまった。だからエンターテイメントとしては火力不足、ドキュメンタリーとしては手落ちという中途半端な結果になってしまったのでしょう。好きなんだけどなぁ(´・ω・`)
#なおエンターテイメントとドキュメンタリーは多分両立できます。が、ここは映像論とかを語る場所ではなく、そもそも製作者の趣旨がそこにあるかどうかもわからないので割愛します。

Q:このアニメはおススメですか?
A:僕は公平な人間でありたいと思っているので正直に言いますと、お勧めはできません。
もう少し具体的に言うとロボットアニメを期待しているのであれば、ロボットはさして活躍しないのでご期待には応えられないでしょう。
ユウキやステラのようなカワイ子ちゃんを愛でたいだけなら、それは第1話で終わっているのでお引き取りください。
でもキービジュアルで推してるのはその2点なんだよなぁ(´・ω・`) う~ん、この……。

Q:ホントはお前アンチなんじゃねーの?
A:『ドラゴンボール』の筋斗雲に乗れるぐらい心の奇麗な僕はあまり嘘をつきたくないんです。
この作品を勧めようものならキービジュアルのようなだまし討ちをしなくちゃいけないんです。
それでは作品の本質は語れず、結果的にアンチと同じようなスタンスになってしまうのです。

Q:結局何が面白いの?
A:何度も繰り返すようですがおもしろくはないです。
ただ考えさせられるのです。
平和とは何か?どうして世の中はもっと単純に動いてくれないのか?
この域に達するとユウキ・ソレイユというキャラが、ステラ・シャイニングというキャラが好きになってきます。
なのでじっくりと腰を据えて考えられる人なら視聴してみるのもいいかと思います。
ただし「考えること」と「何か得られる」は同義語ではありません。
自己責任でお願いします。
なお僕の動画を見た後にこの作品を視聴しても同じ考えにたどり着くとは限らないでしょう。
むしろ別の考察をすることでしょう。
そのことで語らいたいことがあったらいつでもコメントしてください。

 

TVアニメ『Fairy gone』がよくわかるお話【完結編】補足



2クール無事に終わった『Fairy gone』。
正直言うと第2クールは動画にしなくてもいかなっと思ってました。
イージェイ退場後は風呂敷をたたむことに一生懸命で、よく言えばわかりやすいストーリーでした。なので『よくわかる話』は必要なかろうと……。

ですが最終回を見終わったあとに物足りなさを感じたのです。
「ウルフランの扱いってこれでいいのか?」
ウルフランは復興を遂げようとしている世界に、依然として熾火のようにくすぶる戦争の火種です。いうなれば、この物語における闇の最深部です。
なればもっと濃く、もっと鮮やかに描いていかないと世界そのものが薄っぺらくなってしまいます。
#絵でも黒を奇麗に使うと立体感が出て発色も際立つでしょ。そんな感じ。

ホントいい素材しているのにもったいないですよね。
っていうか使いこなせなかったのかな?

ウルフランがあまりにも不憫なので動画にしようと思った次第ですが、これが思いのほか時間がかかりました。
なんせ動機が「不満」なので台本のいたるところに「棘」が出てくるんですよね。
数少ない視聴者に僕の不満をぶつけて不快にさせるのは本意ではありません。
見てくれる人は本当に『フェアリーゴーン』を楽しんでくれた人だと思うんですよね。
#アンチは今頃次のやり玉に挙げるターゲットを探してるだろうし、リピーターにはならないでしょう(´・ω・`)

なので可能な限り刺抜きをしてきました。
されど自分の動画で心に嘘をつきたくないんですよね。
「ダメだな」と感じたところははっきりと言うべきだと考えているんです。
そういうところはまるで鋭利な刃物のように言葉が出てくるわけですよ。
それで視聴者が傷つかないようにオブラートで包んでゼリーもどぷどぷ足して台本を修正してきました。
これがかなり難儀でした。

動画をいったい何人の人が最後まで見てくれたのかわかりませんが心から感謝しております。
わざわざブロマガまで来てくださっているのになんですが、動画に輪をかけて不満要素が多くなっております。
覚悟してってください(´・ω・`)


もくじ

  • 没OP
  • 楽しんで見ているのに「最後まで面白そう」とは?
  • オミットしたこと
  • シュヴァルツ・ディーゼは惜しい男だった
  • 心残り
  • このアニメどこが悪いんですかね?

●没OP

霊夢「『フェアリーゴーン』が無事2クール終了した。だが現在円盤の売り上げが芳しくない。何が足りないと思う?」
魔理沙「Power!」
魔理沙「Power!!」
魔理沙「Power!!!」


当初はイギリスの『トップギア』というおバカドキュメンタリーを元ネタにしたOPを考えていました。ですがパワーおじさんがいたころの『トップギア』を知っている人もそろそろいないだろうし滑っちゃうんだろうなと思って没にしました。
どうせ滑るなら自分の心をトップギアに入れるべきだろうと考えて、あのような茶番がOPになりました。
しかしですね、この没案は僕の本心そのものなんですよ。

『フェアリーゴーン』に決定的に足りないのはパワーなんですよ。
魅力だったり勢いだったり派手さだったり。
そういった技を超える限りないパワー!
設定をいくら作ったって活かされてないなら小細工です。
その程度で視聴者の心をつかめるほどアニオタの世界は甘くないです。
アニメはパワーだぜ!!


●楽しんで見ているのに「最後まで面白そう」とは?

動画の最後で言ってた、ちょっとおかしな言い回し。
そんなに難しいことじゃないですよ。
お弁当に例えるとわかりやすいかも。

お弁当箱ひとつひとつが1話です。
つまり『フェアリーゴーン』は24個のお弁当でできてます。
食材は高級品からご当地名産まで、いろいろそろっててとっても豪華。
おいしそうですよね。

でも実際の調理は下手で食材のおいしいところも切り落としてしまっている。
お弁当の詰め方もバランスが悪く、隙間だらけ。
それらをふりかけ(音楽)でとりあえず食べれるように仕上げた。
それがこの作品をお弁当に例えたイメージです。

そして三角コーナーに捨てられた食材のおいしいところにたかっているハエが僕です。


え?なに?悪趣味だって?
そんなことはありません。

どんな名作でもごみは出てきます。
その捨て方ひとつとっても芸術的だからこそ名作なのです。
(向こう側が透けて見えるほど薄く皮をむいたり、おいしいところだけを使って残りを大胆に捨てたりとか?)
アニメを考察しながら見てる人ってのは(とらえ方の違いはあれど)このように作品の内容だけでなく、舞台裏の過程のようなものも透かして見ながら楽しんでいるはずです。
やってることは同じなんです。
ただ、たまたま僕は『フェアリーゴーン』が好きになってしまっただけなんです。

なので「楽しんで見ていた」し「面白そうだな」という印象を最後まで持っていたんです。

 

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余談:
動画内で誤字がないように何度も見直すのですが、今回はとんでもない誤字をしちゃいましたね。
「最期まで面白そう」って死んでるやんけ(´・ω・`)
『フェアリーゴーン』を愛したポコタンは死んだってことか?


●オミットしたこと

霊夢「レイ・ドーンはこれ以上妖精憑きを増やさないためにスーナを村人ごと焼いたというのはわかりましたが、どうしてそこまでしたのでしょうね」
霊夢「これは僕の勝手な妄想ですがレイは妖精兵の作り方の秘密を知ってしまったのではないかと考えました」
霊夢「それは野生の妖精憑きをとらえて(自主規制)」
霊夢「それから妖精憑きに妖精器官を張り付けて一般人でも使えるようにチューニングしていたとか」
魔理沙「おめー、そんなヤベー展開期待してたのかよ」
霊夢「そうは言うけど兄弟すら手にかける覚悟って何よ?」


音声化するとはなはだ度し難かったのでオミットしました。
文章にしても人によっては耐えられないかもしれないので自主規制しました。
規制したくなるほどむごたらしい人体実験の結果作られたのが妖精兵だとしたらレイ・ドーンの行動も納得できます。
劇中の情報だけだと森を焼いて融合体を退治したほうがよかったんじゃね?って思えてきますよね。
#融合体退治するより村人退治したほうが早いってのも分かるけどね(´・ω・`)

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●シュヴァルツ・ディーゼは惜しい男だった

動画のテキストでさらっと流しましたが、五公の3人とレドラッド王を殺したのはシュヴァルツ・ディーゼだと思うんですよ。
理由は「動機があるのはコイツしかいねぇ」ってだけなんですけどね。
特に終戦のきっかけになったレドラッド王の自害ってのがどうしても腑に落ちなくてですね。

皆さん、身の回りのニュースを振り返ってみてください。
会社だのなんだので不祥事を起こしたら、最高責任者は辞任という名の体のいい逃亡をするじゃないですか?
死んで償うなんてふつうしないんですよ。
曲がりなりにもレドラッドはアイネデルンと並ぶイースタルドの双璧であったのだから、停戦もせずに自害なんてするほど愚かじゃないと思うんですよね。
自殺に見せかけて殺されたとしたほうがよっぽど得心が行くんです。

具体的な方法はもう知ったこっちゃないです。
暗殺者を送ったが、あるいはシュヴァルツおじさんが面会の予約を取って直接毒を盛ったか……後者っぽいなぁ。
この世界なら後者でやれちゃいそうだよ(´・ω・`)
そして「あ~~あそこでレドラッドがヘタレなければなあ~。まだまだ戦えたのになあ~(棒)」と“自分の責任ではない”と触れ回って降伏すればメンツは保たれるという寸法です。

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なぜこんなことを考えたかというと、ウルフランが節操なくシュヴァルツおじさんやレイに情報を売って回る理由が説明できるからです。
何らかの形でウルフランはシュヴァルツ・ディーゼがレドラッド王を暗殺した事実を知る。
動画でも触れましたがレドラッド王が自害ではなく、ちゃんと降伏していれば無駄な不幸を作らない終戦もあり得たわけです。
つまりウルフランが復讐するべき相手は漠然とした「愚かな人間たち」ではなくシュヴァルツ・ディーゼだったのです。

だからハイブランツ公支持派のアーケイムに入会し、シュヴァルツおじさんの動向を観察。
そして一番いいタイミングでレイ・ドーンを利用して復讐を果たした。
ただしこれは完全に根拠のない憶測なので動画にはしませんでした(っていうか尺がねぇ)。


●心残り

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ヴェロニカのことを語れなかったのが心残りです。
っていうか語ることないんですよね。
10割がたダミアンのせいなんですけど(´・ω・`)
この男が何も語らないので失われた8年が本当に何もなくなってしまいました。

和解後はマーリヤとくどい程イチャイチャして「イイハナシダナー」で終わらせる気まんまんでしたし、本当に語れる内容がないです。
復讐だけを糧に10年以上も生きるって辛いことだと思うんですよね。
誰かが支えてくれたり、気を紛らわす何かがあったりしてもいいと思うのですが、想像するきっかけとなる情報が皆無です。
キーキャラクターなのに中身がスカスカなのが残念で仕方ありません。


●このアニメどこが悪いんですかね?

よくアニメで悪く言われるポイントで監督脚本作画の3つがあがりますよね。
本来アニメは多くの人の手によって作られるので「どこどこが悪い」って一か所だけを批判するのはナンセンスなのですが、上記の3つは目立つところなのでどうしてもやり玉にあがりがちです。
1人のオタクとして非難してしまう気持ちもわかります。

好きな作品をあまり悪く言いたくはないのですが『フェアリーゴーン』においては「脚本」が足を引っ張っていると言わざるを得ませんね。
本作品は十文字青さんという小説家が全24話をほぼほぼ一人で書いたとなってます。
アニメの脚本を書いたことないのでわかりませんが、1回か2回書いたことがある程度の経験でオリジナル作品の24話を一人で書き上げるって簡単にできることなんですかね?
ふつうは無理だと思います。

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実際に脱稿したという純然たる事実があるのですから十文字青さんの筆の速さは驚愕です。

しかし良き脚本に求められるのは筆の速さだけではありません。
先の展開を見据えたストーリー構成視聴者の理解度を意識した進展など求められる要素はたくさんあります。
一朝一夕で身につくスキルじゃないですし、それらができるからこそ脚本家は飯を食っていけるんです。
なんで一人で書かせちゃったんでしょうね。

まるで十文字青さんひとりが悪いと言ってるみたいに聞こえるかもしれませんが、
そうではないんです。
青さんの他にもアニメをいくつも手掛けてきたプロフェッショナルが何人もいたはずなんです。
なればこの結果は予想がついたはずなんです。
なのになんで一人で書かせたのか?
僕がこのブロマガの最後に言いたいのはそこなんです。

僕なんかには実際の内部事情を知ることなんてできません。
なので青さんが「俺一人で大丈夫っすよ!ヘヘッ」って言ったのか、あるいはもっと発言力のある人に「青ちゃんひとりで大丈夫だよね。ヨロシクッ!」って言われたのかわかりません。
前者だったら自業自得ですが後者だったらかわいそうですよね(´・ω・`)
口さがない人には「小説家崩れなんかに脚本書かせるんじゃね」ぐらいの勢いで言われてましたし、この手合いの悪口はくだらないことにいつまでも残りますからね。
ホントに不憫でなりません。

企画スタート時点で人材集めをもうちょっと頑張れば『フェアリーゴーン』は名作になる可能性は十分にあったんです。
少なくともそのポテンシャルはあると断言していいです。
#売上ゴーンとか言われなかったであろう(´・ω・`)
オリジナル作品だから下りる予算が少ないとか、原作のないプロジェクトで人数を増やしたときのデメリットとか事情は察します。
けれども「ひとりで書かせる」とゴーサインを出したのは「クオリティを下げてでも敢行する」と言ってるのと同じなんですよね。
その過程がどのようなものだったのか知る由もありませんし、詮索するのも無粋でしょう。
ただただ惜しまれるだけです。



長々と見苦しい愚痴でお目汚しさせてしまいました。
されど僕は『フェアリーゴーン』を最後まで楽しんでたのは本当です。
どうしてそこまで楽しめるのか?
それは失敗作があればこそ名作も生まれると知ってるからです。
だから『フェアリーゴーン』も未来の名作につながると信じてます。
ポコタンはこれからもアニメ制作にかかわるすべてのクリエイターを応援しております。

 

TVアニメ『Fairy gone』がよくわかるお話【人物編】補足

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期待の第2クールが始まった
オリジナルアニメ『Fairy gone』
はやる気持ちを抑えきれず、【人物編】なる解説動画を作ってしまいました。
今回は軽い補足とコメント返しをしたいと思います。


僕にとって「好き」という感情は「良い部分も悪い部分も受け止められる」ものなので「どこどこが悪い」といったたぐいのことを平気で書きます。
共感してもらう必要はないのですがネガキャンしてるわけではないということだけ理解してください。


□オミットしたこと

・マルコ・ベルウッド黒幕説

第1クールのストーリーではあまり関わらなかったけど、この人も思わせぶりな動きをしています。

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動画でも触れましたが『人工妖精誤作動事件』の責任を負いヨアヒム・セット妖精大臣は失墜、次期大臣はマルコ・ベルウッドになります。
新型人工妖精に細工がされていたことを首相に報告するシーンで、ヨアヒムはうろたえているのにマルコは涼しい顔しております。
ひょっとしたら事件に一枚かんでいて、内心ではしめしめと思っていたかもしれません。

ヨアヒムとマルコの顔が似ているので初見時はうろたえてる方がフリーに黒の妖精書奪還依頼した人かなと思ってました。

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部下のグリフ・マーサーも骨相が似てる気がしなくもないですよね。
ひょっとしたら妖精省の力関係は血縁によるところがあるのかもしれません。
個人で妖精学者をしているカイン・ディスタロルが妖精省に入りたくない理由がこの辺にありそうです。

何はともあれ、妖精書著者の子孫であるマルコとグリフは妖精省の実権を握り、かつ『黒の妖精書』を着実に集めているという事実がわかってくると、「こいつら結構ヤベーんじゃねーの」と思えてくるわけです。
いつの間にか第2クールのキービジュアルにも差し込まれてますよね。

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そして妖精省と対立しているのがダミアンとスウィーティーです。
ここも三つ巴になってるんですよね。
どのように風呂敷をたたんでいくのか楽しみです。

・妖精って強いの?

「大戦時に猛威を振るった」と言っているので「戦術兵器としての強さ」はあるんだと思います。
回想シーンでもユアン・ブリーズが単身で砲兵を蹴散らしてました。
たった一人で戦局を大きく変えることができるのだから「妖精が強い」と言ってもいいでしょう。

え?なに?「それはそれだけのことができる妖精兵が強いだけじゃねーの?」だって?

Exactry!!(そのとおりでございます!!)

しかしですね、妖精器官が心臓に癒着してるってことは血液が流れているってことだと思うんですよね。
ってことは妖精器官によって心肺機能も上がっているんじゃないかと思われます。
その上昇量は個人差、妖精差があるでしょうが訓練次第で身体強化が可能だと思われます。
アクセルと追いかけっこしてもスウィーティーが汗ひとつ流さないことや、その他の妖精兵による超人的なアクションの数々をこれで説明できると思うんですよ。

つまり普通の人を妖精兵にできる妖精は強いと言えるわけです(`・ω・´)
え?なに?屁理屈だって?
Exactry!!(そのとおりでございます!!)

『フェアリーゴーン』というタイトルの割に妖精が目立たない理由は数え上げればいとまがないのですが……

・大戦の生き残りはどれも戦術級で使い勝手が悪い。
・戦後の妖精兵は個性的だが、そもそも出番が少ない。
・妖精がいなくても話が進む。

この3つが大きいですね。
第2クールではどのくらい絡めてくれるのでしょうか?
これに関しては少々不安です(´・ω・`)


□コメント返し

【妖精編】

>うぽつ!ダメンズウォーカーみたいになってますぞ!w

投稿者コメントまで読んでくれてありがとう。
うん、まさにそんな感じなんだ。
「僕が見ないと誰が見るんだ」みたいな気持ちから、この動画を作り始めたんだ(´・ω・`)



>妖精という言葉のイメージぶっ壊してくるのすこ
>そうそう 妖精のデザイン好き

うんうん。そういうところから入ってください。
この作品に限らず、どんなことでも「好き」を見つけられるのは生きるモチベーションに繋がります。



>わかりにくすぎで雰囲気アニメになりかかってる気が…
>描く要素を絞ってくれたら解りやすいんだけどね ドラマかバトルか政治劇か戦争か
>ふぇありーんごーもっとやって欲しかったなあ
>公式いらすとやは草

設定を欲張ってるくせに出し惜しみをするから勢いが死に、結果的に雰囲気だけが残る。
歯に衣着せずに言ってしまうと、このような悪循環に陥ってるんですよね。
僕の動画ではアンチ米はおとなしいですが、公式動画のアンチ米は決して的外れでもないんですよね。

シェークスピアや歌舞伎のような古典を見るように前提知識を要求する作品になっているのが原因です。
なので公式サイト、および『ふぇありーんごー』で設定をどんどん配信していくべきなんですよ。
せっかくいらすとやさんに素材作ってもらってるわけですしw

「勉強しないと見れないアニメなんて需要あるのか?」って思うかもしれませんが、オリジナルアニメだからこそ意欲的に挑戦するべきだと考えます。
ツイッターでエピソードごとの補足をしてるみたいですが、あれはログが流れて行っちゃうのでアーカイブスとしては不適切です。
#あと、ネット配信組としてはネタバレされるのが嫌(´・ω・`)

って視聴者の立場だから好き勝手言ってますけど、これって高望みなのかな?
そうなんだろうなぁ~(´・ω・`)
せめて公式サイトの【地名】の項目にハイブランツ公国と地図を載せてください。
#この手の発信はどこにすればいいんだ?ツイッター

あと、ニコニコチャンネルにも『ふぇありーんごー』をあげてほしかった。
つべより盛り上がると思うんですよね。



>そういう展開を期待してるんだけどなぁ・・・

「黒の妖精書が絡んでくるでしょう」というくだりのコメント。
大丈夫です!
そういう展開になります!!
個人的に不安なのは第2クールでも伏線を回収しきれず「続きは劇場で」っていう展開になることです(´・ω・`)
#そもそも劇場版があるかどうか知りませんがね。



>あ、そっか、確か[赤ずきん]の狼ってバアちゃんや赤ずきんを助ける為に銃士が((ry
>?その発想はなかった、なるほど

「フリー腹掻っ捌かれるのか」というくだりのコメント。
まあ、ジングルさんの前で腹割って話をしたから伏線は回収してるんじゃないですかね。

【地理編】

>そもそも字幕がアルファベットで読みづらいから頭に入ってこない

あ……。
自分は「慣れちゃった側」の人間なのであまり気にならなかったけど、アルファベットの、それも気取ったフォントを使ってるから英語慣れしない人には見づらいですよね。
一応縦書きも併記されてるから「情報量的には問題ない」んだけど視線が忙しくなるから理解速度が遅くなりますよね。
雰囲気優先の弊害がこんなところにも……。



>公式設定集とかは読み応えありそうだなあ

細部に至るまできっちり設定を書いてくれたら、それを使って『フェアリーゴーンTRPGとかできそうですよね。
システムは適当なのを見繕って、適当に作れそうです。
実はマーリヤの設定はゲームの出自表を数回振って作ったんじゃないかと思えるんですよね。

1回目:孤児→所持金1/4。なんでも食べれる。数奇な運命。
2回目:木こり→スキル:手斧、行軍、体力+1
3回目:猟師→スキル:猟銃、追跡、スニーキング
4回目:マフィア→スキル:格闘、目星。コネクション。

こんな感じ?
わかってもらえるかな?

【歴史編】

>たまに入るダジャレ好き

ありがてぇ。
毎回は入れられなくて、ごめんね。



>当初の予定通り地味ーな名作という路線を口笛拭きながら歩くアニメになりました

動画編集で楽だった点は作業用BGMが不要だったことです。
口笛を無限ループしてました。



>それでも政治的に納得できる落としどころがあるのは幸せなことだよ。無いと死ぬまで戦う事になる

そう!それ!!
わかってくれて嬉しい。



>アニメの尺でやるには人が出すぎると言われれば否定できない
>せめてイメージカラーとかはっきりしてればなあ 服とか髪とか
>むしろ1期でキャラを掘り下げて欲しかった

一応群像劇って呼んでいいのかな?
スポットが当たっても、すぐに外れちゃうから群像劇っぽくないんだけど……。
アニメ特有の表現方法をさけてる節があるのでイメージカラーを使うわけにもいかないのでしょうね。
それなら視聴者が消化できるぐらいには主要キャラを掘り下げてほしかったですよね。
特にウルフラン。
「お前は俺に追いつけない」とか情報量ほぼ0の厨二病セリフじゃなくってさw
「目的達成するまでお前には捕まらねーよ」って言いたかったんだろうけど、尺が足りないんだからもっと普通にしゃべってくれていいんですよ?



>人名テロップくどいくらい出してくれていいかも
>安心しろおっさん好きな自分もしょっちゅう誰だかわからんくなる
>むしろオッサンの顔の書き分けに力入れてる気がするぜ
>顔はわかるが名前や役職・所属まで一致して覚えられない…

おっさんの見分けがつかないと言いましたが、正確には名前と顔、そして役職が合致した状態で覚えられないんですよね。
その最たる例がシュヴァルツ・ディーゼです。

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初登場は第4話で「ハイブランツ公」と紹介されますが「ハイブランツってどこ?」「ドンくらい偉い人なの?」という肝心の情報がさっぱりわからないまま数分でシーンが変わっちゃうから記憶に残らないんですよ。
#ちなみにOPをコマ送りして探しても「ハイブランツ」という国は見つかりません。
#地図上の国号は「アイネデルン」です。

 

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次に登場するのは第5話。
何か裏があることをチラっと見せるだけのシーンで、4話の時点で記憶に残ってないと「だれ?」ってなります。
第6話になってようやく五公の説明が入ります。
このころから活動が派手になってくるので顔を覚えてくるのですが、テロップがもう出てこないので「だれ?モブ?」ってなるんです。
それゆえ書き分けがされててもわからなくなるという現象が起きるんです(´・ω・`)



>このゲームめっちゃやりたい

人狼役はフリーウルフラン
狂人はジョナサン・パスピエール。
あと、こんな役職はないけど村長:レイ・ドーン
事態が収拾つかないと判断したら最終コマンド「村の焼き討ち」ができる。

【人物編】

>フリーとウルフは1期でもっと掘り下げるべきだった

お、そうだな。アーッ!


>俺だって2周したのにわかんねえよ…

「ダミアンの目的がわからない」というくだりのコメント。
わからなくって普通だと思います。
少なくとも5周はした自分がまだ真理にたどり着けてませんから(白目)
ダミアンは完全にカードが伏せられてます。


>両親死んだくらいで災いの子とまで言われるのはやっぱ宗教的なものなのかなあ

現代の感覚では「単に運が悪かっただけ」なのですが、続けざまに不幸が起こることを「災いを呼んできた」と考えてしまう宗教というか風習のようなものがあるんですよ。実際に。昔はね。詳しくは書かないけど(´・ω・`)
彼らの宗教観では、それを「災いの子」と呼ぶんです。
穢れなので誰も近寄ろうとしません。要はいじめですよね(´・ω・`)
木こりのユルゲンははっきりと言葉では言わないけど「お前は災いの子じゃない」と伝えようとしてましたし、ヴェルも「悪いことなんて起きないよ」と語り掛けてくるように、これが根拠のないただの風習であることを理解してる人もいるんですよ。



>この年齢の女の子でマフィアトップのお気に入りは大したもの

フザンのオークション会場でフリーに捕まらなかったら、ドン・マーリヤが誕生してたことでしょう。



>もうおまえら結婚しろ

それな!(力説)



>公式の用語集を片手に視聴すれば良い(白目)

それな(白目)
ま、アリだと思いますよ。個人的には。広くは受けないってだけで……。



その他「うぽつ」「わかりやすかった」などなどのコメント、本当にありがとうございました。
それから、もうすさん、はずれさん、中佐さん、ukkariさん、六角 レンチ さん、かりんとう妖精さん、 kit2000さん、 blue_sky さん、広告ありがとうございました。
コメントも広告も本当に励みになります。
頑張れたのは皆さんの声のおかげです。

それでは『Fariy gone』第2クールを存分に楽しみましょう。


10/14追記
【妖精編】
>よく理解できんがもったいないって印象
【地理編】
>結構なことつくりこんであるな・・・ほんともったいねえ

設定はあるのに伝わってないのがホントもったいない。
理由はいくつかあるのですが一点挙げると、「劇中で妖精の名前を呼んでいない」ことが原因です(´・ω・`)
自分の妖精の名を何度も呼ぶのは口笛おじさんだけです。
アクセルとスウィーティーも初回時に一回呼んでますね。
アッシュクラッドの名は劇中で出てきてない可能性もあります。
#少なくとも僕の記憶ではなかった。



【人物編】
>あれーこの解説だけ聞くとすごく熱い物語なきがしてくる
>あれ?すごくいい話じゃん…

言うなれば「うまみを凝縮」してますからね。
ポテンシャルの高さは理解してもらえると思います。


10/19追記
【妖精編】
>そんな名前だったのか

妖精視晶壁という単語は劇中で言ってなかったかも。
でも知らなくても話は分かるよねw


10/21追記
【人物編】
>マーリヤ愛されてたんだな

黒の妖精書をマーリヤに拾わせるところが特にいいなと感じました。
自分で拾わせることで「これはお前の成果なんだぞ」と示し、それを含めて「よくやった」と言っているのだと解釈してます。
流行りの言葉でこういうのを「エモい」っていうんですかね?


 

TVアニメ『Fairy gone』がよくわかるお話【補足編】

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転生なし!チートなし!のハードなオリジナルファンタジーアニメ『Fairy gone』の第1クールが無事終了しました。
この作品は広大な世界!童話パロ!暗躍する組織!妖精バトル!要素てんこ盛りでお送りしております。
新作RPGを始めるようなワクワク感を味わえる意欲作なのですが欲張りな設定が作品を難解にしています。
解説動画と銘打った何かを3本ほど作りましたが、それだけでは足りなそうなので補足をブロマガで書くことにしました。
そもそも前情報の全くないオリジナル作品なんて「解釈」はできても「解説」なんて土台無理なんだよ(´・ω・`)

僕にとって「好き」という感情は「良い部分も悪い部分も受け止められる」ものなので「どこどこが悪い」といったたぐいのことを平気で書きます。
共感してもらう必要はないのですがネガキャンしてるわけではないということだけ理解してください。


□妖精編・補足


・わかる?
動画では「用語が詳しく説明していなくてわかりづらい」と言いましたが「普通にわかるよ」というコメントをいただきました。
たぶん「わかると答えた人」は公式生放送『よゼミ』なり公式サイトなりで“予習”をしていた人なのではないかと思います。
しかし大概の視聴者は前情報なしにぼへら~と一回だけ見ているんじゃないかと思います。
#それが悪いとは言いませんよ。
#むしろ僕みたいに何十回も繰り返し見てるオタクのほうがキチガ奇特なんです(´・ω・`)

かくいう自分は初見時に妖精「げんたい」という言葉がどのような漢字で書かれるのかわかりませんでした。
「幻態?」「源体?」
そんなことを考えているうちに話はどんどん進んでいくわけでして、この時点で考えることをやめました。
一度文字で読んでしまえばすんなりと理解できるんですけどね。
#ビバ!表意文字!!

用語や世界観はストーリーを追いながら理解しようとすると難度が上がるのでまとめを別枠で作ってくれると助かりますよね。
それを公式サイトなり『ふぇありーんごー』なり『よゼミ』なりでやってくれるのかな~と期待していたのですが……かゆいところに手が届かなかったってのが正直な感想です。
そのフラストレーションが【地理編】に繋がるわけですが……。

・オミットしたこと

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妖精成体の姿は妖精原体がどの動物に憑依したかで変わります。
レッドフッドは狼に憑依したから人狼みたいな姿をしているのでしょう。
そして人間に直接憑依したアッシュクラッドは人間に近い姿をしています。
ヴェロニカのブラッドドーターも人間っぽい姿をしています。
頭が嘴のように尖って見えますが、よく見るとアレの下に顔があります
つまり仮面のようなものをかぶってるんですよね。
足もハイヒールですし人間らしい特徴が随所にあります。
そして最近公開されたレイ・ドーンの妖精スローンテイカーも人間っぽい姿をしています。
この3人が妖精憑きなのでしょうね。
そして12話まで見た現在ならレイ・ドーンがスーナに火をかけた理由が少し見えてきます。
シュヴァルツおじさんに天誅を下すときに言った「時を知らぬ」というセリフは「歴史を知らない」という意味なのでしょう。
#こういう詩的(?)なセリフは個性付けなんでしょうけど必要な情報がぼやけてしまうのが難点ですよね。
#個人的にはシェークスピアを読んでるみたいで楽しめるのですが難解であることには変わりないですよね。

たぶんミドルエンドのトゥファール王国が滅んだ理由を知っていて、それが妖精憑きに関わることなのでしょう。
なので妖精憑きがこれ以上誕生しないように妖精郷だけでなく集落ごと焼き討ちにする必要があったのではないかと考えられます。
その生き残りの3人が国(Low)ドロテア(Neutral)無所属(Chaos)の3勢力に分配されているのが面白いですよね。
後半でこれがどういう風にまとまっていくのか楽しみです(`・ω・´)

・妖精の由来

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もう登場することのないオズさん
の妖精エアレーについて考察します。
この名前、昔のゲームか何かで聞き覚えあるなぁって思って検索したら案の定ウィキペディアにヒットしました。
#もう妖精の名前がウィキに出たら死ぬってことでいいんですかね?
「エアレー」の元ネタは各自で検索してください。
僕はこの外見を見たときに絵本の三びきのやぎのがらがらどんを想起したんですよね。
知らない人に簡単に要約すると「ヤギがトロールを細切れにするお話」です。
オズさんにはそういうバイオレンスな活躍を期待していたのですが「チョキン、パチン、ストン」される側でしたとさ(´;ω;`)
#なして僕のお気に入りキャラはみんな死んでしまうん?

というわけでエアレーが何の童話を元ネタとしているのかはわからずじまいです。
「エアレー」自体が幻獣の伝承なので元ネタも「エアレー」ってことなのかもしれません。
オズ・メアって名前はオズの魔法使いから来てるんでしょうかね?
ライオンのように勇敢でブリキのように心優しく、かかしのように無口?
銀の靴を履いたマーリヤがチマと3人のオズを連れてマンチキンを旅するスピンオフを『ふぇありーんごー』でやってくれないかしら。


□地理編・補足


・地図
公式サイトにアップしてください。
是非ともお願いします。

よくある架空戦記物みたいに史実地図を借りつつファンタジー要素があるおかげで状況が異なるとかなら制作側にとっても視聴者にとっても負担が少なくて済んだと思うんですよ。
あるいはこの作品がマーリヤとフリーの漫遊記だったなら旅の終わりに全体図がばばーんって出てきてくれれば十分だったと思います。
ですがまったく知らない大陸を任務で各地に出向しているのであれば、その方向や距離がわからないのは見ていて不安になります。
#第12話で「ネイン局長帰ってこないの?」「昼寝でもしてるの?」といったたぐいのコメントがついてました。鉄道が襲撃を受けていたこと(補修済みかもしれないけど)。大隊で移動してること。制圧後の処理。そもそもテロリストたちがタイミングを計っているので陽動に気づいても遅いこと。などなどネイン局長が帰ってこれない理由は考えればいくらでもあるのですが、このように理解の足りないコメントが来てしまうわけですよ。ハプシュタットをロンダキアの隣町か何かだと思ってるんでしょうね。山を越えた先、大陸の南の街であることが浸透していればここまで無知なコメントが流れることはなかったでしょう(´・ω・`)

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公式サイトの「地名」の説明は文字情報だけなのでイメージが湧かず、しかも公国の項目に「ハイブランツ」が抜けてます。
OPのフラッシュカットにもハイブランツの文字はないのでシュヴァルツおじさんはどこを治めているのかしばらく悩みました。
#動画でも言いましたがハイブランツ公国は地図上の国名はアイネデルンになってます。
#11話では独立宣言をして盛大な陽動作戦をしてたにもかかわらずハイブランツおよびシュヴァルツおじさんの扱いが雑ですよね(´・ω・`)


・街並みが同じ?

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「国境を越えても建物が同じに見える」と動画で言ってますがよく見ると違いがあります。
屋根や街灯の形、ティムーンは露天が多いなどなど……。
ただアニメを見ているときにこれらに注目しているかというとそうじゃないですよね。
キャラクターが動いているんですからそっちに注目して印象に残るのは木組みの壁ばかりじゃないかと考えます。
どうしてこうなったのか?
制作の意図を読み切れないので正直自分にはわかりません。
アニメ的な誇張表現を嫌ったのか、あるいは蹂躙と呼べるレベルでゼスキアに統一されたのか?

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そういえばティムーンには教会跡が出てくるけど使われていませんでしたね。
宗教すら禁じるレベルで「統一」はされたのかもしれません。
だとしたら建物も着るものも似たり寄ったりになるのもわからないでもないです。

・レドラッドはイギリスなの?ドイツなの?
動画ではマーリヤの食事を例に挙げて「ロンドン」と断定しましたが同じお店でドイツ料理が出てきたんですよね。
結局どっちなんでしょうね?
あのお店がロンドンをモチーフにしてるのは間違いないんです。

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なぜなら看板に "Pie and Mash" と書いてあるからです。
「パイ&マッシュ」というのはロンドンで“食べられる”ロンドンっ子のソウルフードとも呼ばれる名物料理です。
ではどうしてドイツ料理が出たのか?
おそらくマーリヤの入隊祝いの席だから特別に用意されたのではないかと考えます。

それとドイツ料理はサイダルの食習慣なんじゃないかと推測します。
これはサイトの少ない情報をもとにした偏見込みのイメージなのですが、サイダルはで統一戦争を制したような気がするんです。
たったそれだけでサイダル=ドイツというイメージはどうかと思うんですが情報が無いんだから仕方ないです。
そのサイダル人が首相をしているのだから要人の多くはサイダル人で固められているであろうと推測できます。
そうすると故郷の味が食べたくなるわけですから料理の文化がレドラッドに流れてくるわけです。
結果イギリスとドイツの食文化が混在しているのではないかと考えます。


・エンディング
動画では「ファナチカからの旅立ち」と言いましたが、よくよく考えてみるとファナチカをたったのはもっと幼い頃でしたね。
EDは現在のマーリヤの姿なので時系列が合いません。
そうなると単なるイメージ映像なのか、あるいはビャクレーを出たときに一度スーナに立ち寄ったか。
なんにしても早とちりでした。


□歴史編・補足


・衣服の平均化
実は衣服の差分が分かりづらい理由があります。
それは登場人物が特定の役職に偏りすぎて制服ばかりだからです。
映像をくまなく探せばいろんな衣装があり、貧富の差や社会構造などがちらりと見えてきます。

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さほど裕福そうでない人でも子供を連れて列車の旅ができるあたり国鉄はそこまで高くないのでしょう。

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籠を頭にのせてる子、かわいい。
洗濯ものかな?
家事でやってるには量が多い気がしないでもないから仕事にしているのかも?

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統一式典に参列してる人たちは中流以上と思われます。
あたりまえのことですけど現状の体制に満足しているのはある程度裕福な人に限られてるってことですよね。

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地味なメイド服!いいね!こういうのでいいんだよ!
いや違った。この画像で注目してほしかったのは安居酒屋ばかりでなく、テーブル席の落ち着いたパブもあるってところです。
中流層が多くないとこういう店は経営できないでしょうからロンダキアの経済は安定しているってことなんですかね。
どんな産業があるのか知りませんが……。

 

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衣装のバリエーションがあるのはいいのですが民族衣装が出てこないのが残念ちょっと気になりますよね。
スーナの子供服も民族衣装というよりは田舎の子って感じですしね。
民族衣装を見かけない理由はこの世界に嘘くさいレベルで宗教色がないからだと思います。
先にも少し触れましたがティムーンには教会跡地が出てきますが使われている形跡がありません。
単に老朽化して放置されてるだけかもしれませんが、だとしたらもっとアクセスのいいところに新しいのが建ってもいいはずですよね。
でもそれらしい建物はなかったので信仰が失われたとみてもよさそうです。
#この世界には「30代から始める悟りの道」を実践した人がいなかったんでしょうね。
#それ以前に既存の宗教をモデルにするとメンドクセーことになるから避けた可能性もあるけど(´・ω・`)

 

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宗教っぽいところがあるとすれば、この妖精省の人が唐突に始めた印(?)ですね。
この印が何を意味するのか現時点ではさっぱりわかりません。
なんとなく妖精原体を模しているようにも見えますが、話の流れ的にはトゥファール王国で信仰されていた何かのようにも思えます。
妖精省の制服もどことなく宗教臭いですよね。
なのでゼスキアの宗教は妖精に集約されてるのかもしれませんね。


・ゼスキア文字

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ゼスキア文字の数字も存在しますが解析できなかったのでオミットしました。
0と4と9はわかったんですけどね。

それから言うほどゼスキア文字は浸透していない可能性があります。

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まず黒の妖精書にはローマ数字がしれっと使われてます。
トゥファールの英知とか言ってたので古代王国ではローマ数字を使ってたのかもしれません。
黒の妖精書だけならよかったのですが劇中にもローマ字っぽいものがちらほらあります。

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ロンダキアちょっといいパブの看板が「pub of Rondakia」とゴシックっぽいフォントで書かれているようにも見えるんですよね。
#ちなみにロンダキアのスペルはRondacia。
丸で囲まれた真ん中は「bigining 30」って書いてあるのかな?
その隣のお店も「?MAN & J.DIC??」と書かれているように見えます。
ゼスキア文字の特殊フォントという言い訳をするにはちょっと無理がある。
これは制作側のミスなのか?本当はローマ字も存在するのか?判断できませんね(´・ω・`)


・人殺しが正当に裁かれる。いい時代だろ?
率直な感想を言うと「軽いセリフだな」と思いました。
どこかで聞き覚えのあるセリフを受け売りで言ったような、そんな軽さを感じたんです。
演技力が足りないのか演出が悪いのか、と初見時はうがった見方をしてましたが2度3度見ているうちに「実はこいつ本心から言ってねーんじゃねーの?」という見解にたどり着きました。
ジングルさんに「肝の座りが悪い」と突っ込まれたようにフリーはどこか芯が弱いですよね。
スウィーティーにも「元レドラッド軍人が統一ゼスキアの犬に成り下がって」みたいな言われようでしたし、どこか日和見的なところがありますよね。
なので「とりあえずおとなしくなってもらうために鉄板の口説き文句を言っておこう」という解釈もできそうだなと思ったのです。
もちろんその「いい時代」とやらを実現するために元敵国の傘下に身をやつしているんだという矜持はあるのでしょう。
しかしそのために何ができているのか?
任務に忠実なだけでいいのか?
っていうか第1クールはすべての事件で後手に回ってね?

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これらの葛藤ストレスとなってあの首がこってるような癖に出てるのでしょう。
第2クールでどのように解消されるのか楽しみですね。


□12話を見終わって

動画制作時点では11話までしか見ていなかったので12話まで見た感想やらなんやらを少し書きます。

・なぜ当たらない
守備兵たちの銃弾が面白いぐらいに当たらなかったですよね。
好意的かつ科学的にこの状況を説明するのであればリスカーが見えていなかったのでしょう。

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テラス(?)にはうしろの窓から明かりが漏れていて守備兵たちの手元を照らしていました。
明るいところから暗いところを見ようとしてもよく見えないんですよね。
逆は丸見えなんですけど。
しかも宮殿正門の広場は街灯がだいぶ離れています。
#ここらへんのシーンは器物の大きさがまちまちなのでどれを信じていいのかわかりませんが……。
マインクラフトなら敵がポップするぐらいには暗いでしょう。
だから薄ぼんやりと見える何かに向かってあてずっぽうに撃っているんじゃないでしょうかね。
#マーリヤがこの場にいたら自身は暗がりに潜んで月明りを反射する両目を頼りに眉間を撃ち抜こうとするでしょうね。そして引き金を引くときの殺気に気づかれて避けられるところまでがセットです。

 

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それと守備兵たちの練度が低いってのも理由でしょう。
不意打ちしなくちゃいけない場面で「撃て」と号令をかけるのは笑っちゃいましたよ。
描写はされてませんが、ひょっとしたら人を撃つ覚悟すらないかもしれません。

とまあここでいくら御託を並べてもこれは僕の解釈であって正解は知りません。
不安になってしまうのは劇中の説明が足りない、というよりあやふやなのが原因です。
リスカーが守備兵の弱さを“砂粒”だのなんだの称するのは彼が言語野に重篤なダメージを負うほどの厨二病を患っているから仕方ないです。
むしろ説明台詞を言い出したらキャラがブレてしまいます。

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口笛おじさんはどうかそのままでいてください。

ですが取り巻きの傭兵までがリスカーに感化されて遅咲きの厨二病を発症したみたいなセリフを言うのはどうなんでしょうね?
結果的に誰も状況説明してくれません。

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この「平和ってのは人を腐らせる。ひでぇ腐臭だ」ってセリフはつまるところ実戦経験のなさと緊張感の足りなさに対する嫌悪感を表しているのでしょうけれどピンとこないですよね。
「普段どんな訓練してやがる。素人同然じゃねーか」とかでもよかった気がします。
#どうせこいつそこまで忠誠心高くないんだろ?
#リスカーが強敵に相対して戦いに夢中になったら裏切って逃げるだろうし。
#そのときにどんな死にざまを披露してくれるのか今から楽しみです。

守備兵の無能っぷりばかりが強調されてますが誤作動事件で人工妖精の信用を落とし、ハプシュタット決起で主力部隊が陽動されたことで首都警備が手薄になっていたのです。
このような下準備があればこそすんなり宮殿に侵入できたことを忘れないでください。

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あー……でもこんな状況であるにもかかわらずおべんちゃらメンツ立てに必死なあたり、やっぱり腐ってるのかもなこいつら。


・口笛行進
11話のこのシーンで実に多くの視聴者がこの作品に対する印象を変えたことでしょう。
口笛がBGMとシンクロし銃声までもがリズムを刻む斬新な演出に「ギャグかよ」とコメントがついてましたね。
たぶんギャグという認識でいいと思いますよ。
僕もチンパンジーのおもちゃみたいに手をたたいて笑ってました。
そして気が付くとあの口笛を吹いてる自分ガイル……。

改めて言うことでもないのですがサブタイトルも童話モチーフがあるんですよね。
第11話のサブタイトル『招かざる音楽隊』はブレーメンの音楽隊』をネタにしているのでしょう。
ブレーメンの音楽隊』とは「荷を運べなくなった老ロバ、獲物を捕まえられなくなった老犬、ネズミを捕れなくなった老描、卵を生まない雄鶏がそれぞれ飼い主のもとからゆかいな大脱走をし、そしてたどり着いた盗賊のアジトをマッスルドッキングによって占拠する」というお話です。
この「役に立たなくなった家畜」「戦争の終わった傭兵」に重ねているのでしょう。
そしてこの家畜たちのとる行動が実に滑稽なのです。
なのでリスカーたちの行進が面白おかしく見えたのであれば、それは演出の意図通りであったと思われます。
僕にとっては実にクールクレイジーイカしたシーンとして鮮明に記憶に残りました。


・伏線?
瀕死のアクセルを拾ったのはリスカーでした。
何かの伏線かなと思い記憶しておいたのですが第1クールでは特に触れませんでしたね。
実はリスカーさん、土砂降りの雨の中に捨てられた子犬がいると拾っちゃう人なのかな?
ソフィーはその姿にキュンと来たとか?


・円盤買え
普段ブロマガでは「買え!」ぐらいの勢いで書くのですが、さすがに音声化するといやらしく聞こえるので「購入の検討」とソフトな表現をしました。
ですが本心ではやっぱり「買え!」ですね。
これから先しばらくはアニメが作りづらい時代になっていきます。
特にオリジナル作品は知名度0から始めるアニメづくりですのでなかなか注目されません。
故に円盤が売れず、結果的に実績にならないので敬遠されてしまいます。
それに加えてアニメを金儲けの道具としか見てない奴らがじゃぶじゃぶ投資するから制作現場は疲弊しきってます。
この状況に対してオタクができることはただ買うことだけなんです。
とても歯がゆいことですけどね(´・ω・`)

昨今は些細なことですぐに炎上するのも問題ですよね。
これじゃ世のクリエイターが自粛してしまいます。
燃やすのは情熱だけで十分なんですよ。
怨嗟の炎なんて一銭も価値もないんだからさっさと灰にして肥やしにしちまえばいいのに。
よくもまあ火種が尽きませんよね。
っていうか放火魔と同じで火をつけることが目的になっちゃってるんでしょうね(´・ω・`)

おっと話がそれました。
8冊ともなると安い買い物でもないですし場所も取ります
買えないという人がいても仕方がないです。
「買え!」というのはあくまでも僕の魂から出た独り言です。
世の中には買うことでしか示せない意思があるんです。
なのであなたも魂が求めるものに出会えたなら、それは迷わず買いましょう。


いったい誰がここまで読んでくれてるかわかりませんが最後までご清覧いただきありがとうございます。
オリジナル作品の、しかも未完成ということもあって正直書きづらかったです。
先読みを書いて外れれば赤っ恥、当たっててもネタバレとなって読み手にとってもいいことないですよね。
また「ここおかしいぞ」ってところに気づいたので書いてもよかったのですが、なんだか上げ足をとってるみたいで気が引けちゃったのでやめました。
妖精の考察も書いてみたけどダラダラしてるだけでまとまりがなかったのでやめました。
とまあまとまりのない何かになってしまいましたが、こんなブロマガでも作品の理解を深める助けになれれば幸いです。
意見、反論、質問あれば遠慮なく言ってください。
納得のいく回答ができるかわかりません。


第2クールを期待しつつ夏アニメを物色しているポコタンはフェアリーゴーンを応援しております。

 

バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~がもっと好きになるお話

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海の中にある小さな村パーレル。
そこにはささやかな日常を送る5人の女の子たちがいました。
彼女たちの歌は、まだ、ない……。


大人気TCG『カードファイト!!ヴァンガード』のスピンオフアニメーション『バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~』が多くのファンに支えられて堂々のフィナーレを迎えました。

この海を漂うが如くゆるくふわふわした作品に僕の心は年甲斐もなくドキドキワクワクで満たされました。
この気持ちをみんなと共有することが「楽しい」なんだとキャロに教わったのでもう一本だけブロマガを書くことにしました。
今回は長くなるのでお時間のある時にお読みください。


・それは努力の物語
「努力なんて要素あったか?」とお思いの方もいるかもしれません。
確かにスポ根のような暑苦しい展開はありませんが彼女たちは決して努力を怠っていません。
それは誰にでも簡単にでき、されど続けることの困難な「諦めない」という努力です。

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ソナタはアルディに何度止められても映画館を諦めませんでした。
劇中では「おねだり」とやさしい言葉を使ってますが見方を変えれば自由のために権力に抗ってますからね、これ。
厳しい世界なら首長権限で謹慎を言い渡されるって展開もあり得たでしょう。
それだけソナタの覚悟が本物だったということです。
#もっとテーマに沿った見方をするなら「大人の庇護下からの脱却」ってところでしょうか。

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フィナは料理と裁縫を得意とするが最初は失敗だらけでした。
けれどもセレナの応援を受け諦めずに頑張ってきたからこそ今があります。

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セレナはもともと努力家でした。
少なくとも自分の興味のあることに対しては諦めるということをしません。
時には自分の無力さを認める勇気もあります。

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自由奔放なキャロは楽しいことには常に全力で当たっていきます。
しかし不真面目というわけではありません。
「楽しい」の答えがわからなくなったときはしっかりと向き合うし、映画撮影最終日の悪天候イワシストーム)には責任を感じてます(キャロの責任じゃないがな)。
何よりカノンが結晶化しているときでも映画館の仕事をしてるのはキャロだけです

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このように彼女たちの諦めないひたむきな姿が丁寧に描かれてきました。
ここにきてカノンが再び結晶化してしまいます。
その意味するところは「挫折」です。
挫折とは努力を続けてきた者のみが真に味わうことのできる特権です。
そして挫折から立ち直るのに必要なものは「愛」なのです。
フェルマ「何故そこで愛ッ!?」


・愛とは相手を信じ、待ち、許してやることだと『スクールウォーズ』から学んだ

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彼女たちは何かとすぐに抱き着いてきますが実はこの行動、とっても理にかなってます。
重力のくびきから解き放たれることのない我々地上の人間が同じことをしようとすると、ごく至近距離にいる場合ならいざ知らず少しでも離れたらタックルする必要があり、抱き着かれた相手がそれを支えきれなかったら倒れて最悪怪我をしてしまいます。
しかしやさしい海に守られた彼女たちは抱きとめてあげることができるのです。
最上級のスキンシップとして日常的に行われる理由がここにあります。
#決してお前らへのサービスじゃねーぞ(´・ω・`)

またハグをするときは決まって感情が高ぶった時です。
この世界では彼女たちマーメイド以外は我々もよく知る海洋生物しかいないようです。
コミュニケーションは取れるが、いやむしろ会話が成り立つからこそマーメイドたちは自分たちが異質な存在であることを実感してしまうのでしょう。
そんな時に同族と触れ合って安心感を得ようとする行動がハグなのです。
とまあ生物行動学のような小難しい解釈をしましたが要するに「あなたにいてくれてありがとう」と全身で伝えているんです。
もっと簡潔に3文字でいうなら「隣人愛」です。

こうしてみるとソナタたちがいかにやさしい愛に育まれてきたかがわかります。
マーメイドたちを育てるのが愛だとすると彼女たちが恐れるのは「孤独」でしょう。
#独りぼっちは、寂しいもんな

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若かりし頃のフェルマは養生のためにサナトリウムで独りぼっちでした。
そしてこの先もずっとひとりなのか不安を抱えていました。

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都会から逃げてきたチェルもまた孤独を抱えていました。
人も物もたくさんある大都会なのに理解者に恵まれずひとりでした。
最終的に彼女たちは待っていてくれる人、信じてくれる人、許し合える人の元へと帰っていきました。

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ではカノンは?
パーレルに来てからのカノンは確かに愛で満たされていたはず。
なのに結晶化してしまう理由は?


・空想全開のSF(すこし・ふしぎ)な話
ここでちょっと脇道にそれて第6話の考察をしてみたいと思います。
このエピソードで大事なキーワードは「過去」です。

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アクセサリーショップをしているマルトレがスケッチをしています。
新しいアクセサリのデザインを考えている可能性もありますが、ひょっとすると昔は絵描きを目指していた時期があったのかもしれません。
風車小屋のフラゼの家には映画のポスターが貼ってあります。
単にお気に入りのポスターを貼っているだけかもしれませんが映画俳優を目指していた可能性もあります。
シャンテはマンタと親しげに会話をしています。
昔は二人で放浪の旅にでも出ていたのでしょうか?

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そして示し合わせたわけでもないのになんとなく集まる大人組のメンツ。
何とはなしに漂うノスタルジックな雰囲気に上記のような過去を想像させます。
何十年に一度くる潮のせいで仕事にならないから昔のダチのところでくっちゃべってるだけかもしれませんがね(´・ω・`)

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この謎の潮が何なのかは劇中の情報ではさっぱりわかりません。
機械が異常をきたし、こと。
そして不思議なことが起こることとしか説明されません。
なのでキネオーブに映る少女と会話ができても何もおかしくありません。
むしろ「こんくらい分かれよ」という監督の強い意志を感じます。
……いや、違うな。
この作品ならこの言葉がふさわしいでしょう。
「イメージしろ!」

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この少女が誰なのか。
そのはっきりとした答えは劇中では明かされません。
ある程度特徴が一致することからフェルマの若かりし頃であろうと推測されます。
映像の中の少女が言うシェルシスがフェルマのことを指している可能性がありますので確証は得られませんが9割がたフェルマの過去の姿であると言えるでしょう。
ではなぜ過去のフェルマと会話ができるのか?

過去と現在の相互通信は物理的に不可能です。
たとえ僕が許しても相対性理論が許してくれません。
それにコーダさんが「キネオーブは映画を保存するためのただの器」とも言ってます。
であるならば映し出されている映像は現在進行形のものであり、会話はオーブの「中のヒト」と通話してることになります。
なぜオーブの中に過去のフェルマが入っているのか?

これは憶測ですがフェルマもかつて結晶化していたのではないでしょうか?
第1話でマーメイドは心やに無理がかかると結晶化すると言ってました。
そして映像の中の少女は体が弱いとも言ってました。
つまり昔のフェルマ都会で暮らすにはあまりにも病弱で結晶化せざるを得なかったと考えられます。

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となると映像の中の風景は結晶化中の心象風景であると考えられます。
サナトリウム疎開していたとするには人の気配がなさすぎるのです。
ビデオレターを撮っていたのなら看護士が付き添いをしていてもおかしくありません。

フェルマの結晶は砕けたあとも海に漂い、偶然このキネオーブに沈殿したんじゃないかと考えます。
また冒頭からフェルマ自身も追憶にふけってました。
そこに加えていろいろな怪現象を起こす謎の潮も相まって結晶化中のフェルマの想いが映像となったのです。
ビデオレターの体をなしていたのは結晶化中もフェルマは外に呼び掛けていたからにほかなりません。

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最後にフェルマ自身ではなくアルディが声をかけたのはなぜか?
SF脳的にはタイムパラドックスを避けるため」と考えがちですが今回は時間遡行はしないことを前提に考察しているのでこの考えは光の速さで却下です。

結晶化していた時期のことは多少なりともトラウマとなっていることでしょう。
かけるべき言葉を見つけられないフェルマ
それを見かねてアルディが声をかけたのです。
その内容はパーレルで暮らす今のフェルマの姿です。
それは映像の中のフェルマだけではなく隣にいるフェルマへの語り掛けでもあるのです。
なりたかった自分ではないかもしれないが今のままの貴女でいいのよ、と。
過去も現在も受け止め、いつだってそばにいてくれるアルディのこの言葉にフェルマがどれだけ救われたことでしょう。
愛ですよ。

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ちなみにこの時のキネオーブがアルディの言葉で浄化されて第10話のブランクオーブになったんじゃないかと勝手に想像してます。
つらい過去を乗り越えて楽しい今の思い出になるって考えると素敵じゃないですか。

それからフェルマがなりたかった夢とは何だったのでしょうか?
たぶんアイドルなんでしょうね。
第9話の打ち上げ(?)のシーンで歌いだすフェルマを見てコーダが「ここにもアイドルが」と言っていたあたり過去にデビューしてる可能性もあります。

とまぁ長々と考察を書きましたがところどころ無理があるのは百も承知です。
「過去と通話はできないものとする」と勝手に縛りを設けて考察した結果です。
1から100まで筋の通ったお話ってのもそれはそれで面白いと思うのですが僕は想像の余地が残っているぐらいのほうが楽しめると考えてます。
その点『カラパレ』は穴だらけ非常に楽しませてくれるいいお話です。
であるからこそ真剣に考察……いや違う、イメージ!しているんです。
僕だけのストーリーを!

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それにいくら海底で、しかも映画館の中にまでオーロラが広がっているからって、そうそう簡単に時空を超えたりなんかしませんよね~。
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

注 意
この作品は『ヴァンガード』です。
彼女たちがこうしている間もここ惑星クレイから遠く離れた地球で時空を超えたバトルが繰り広げられています。

・手抜きの技法
手抜きと聞くと悪いイメージが湧くかもしれませんが僕はそうは考えてません。
技術が身についてない者がする手抜きはただいい加減になるだけですが、しっかりとスキルをマスターしたものが行う手抜きは技法のショートカットになるんです。
その最たるものがワイプです。

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会話の演技って難しいんですよね。
舞台演劇の例がわかりやすいです。
観客席からは舞台は遠いので棒立ちでセリフをしゃべっても誰が発言してるかわかりません
だから手ぶり身振りを交えてセリフを言うんです。
それは誰が発言しているかのアピールであり感情表現であったりもします。

アニメにおいても同じことが言えます。
しかし手ぶり身振りをいちいち描くのは大変です。
だから表情がよく見えるバストアップにまでカメラを寄せて首から上だけのアニメーションで済ませようとするんです。
しかしそればかりだと構図が偏って飽きてしまいます。
なのでカメラを離して全景を写したり、角度を変えたりと工夫をするんです。

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ワイプはこれらの面倒な工夫を全部取っ払うことができます。
映像は見せたいところを映してセリフのある人物だけワイプに映せばいいんです。
誰がしゃべっているか一目瞭然だし、しかも表情も見える。
背景には状況説明のすべてが詰め込まれているのだから一石二鳥どころか三鳥です。

それと序盤はキャラの名前と声がなかなか一致しません。
よく訓練された視聴者諸君なら第1話の時点でキャラ名ぐらい把握するのでしょうが全員が全員そのような特殊能力を持っているわけではありません。
キャラ紹介パートとして使われる5話目が終わった後でも混乱を招かないように丁寧にキャラクターを見せる手法としてもこのワイプは優秀です。
女の子が10人以上登場して全員が同じ制服を着てみんながみんなキャピキャピしゃべってて、もはや誰が誰だかわからなくなる作品があったりする中、『カラパレ』はちゃんとキャラを覚えてもらおうとする努力が見えます。

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視聴者に十分にキャラクターの理解が行き届いたであろうタイミングで今度は彼女たちが頼むケーキをワイプするという高度なテクニック。
これはキャラの好みも覚えてもらおうという粋な試みです。
さすが西村監督。

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でもこの風船が膨らんだようなワイプさすがに何かの間違いだと信じたい。
何度見てもここで吹く。
ひょっとしてギャグでねじ込んだのか?


・手書きのこだわり
『カラパレ』はお世辞にも絵がきれいとは言えません。
スケジュールもカツカツだったんだろうなあ。
作品全体から危機感のようなものが感じ取れて毎週ドキドキが止まりませんでした。
であるにもかかわらず3Dモデリングに頼らずに手書きで作られているんですよね。
ひょっとしてアニメーターの新人育成をしているんじゃないかと思った次第です。

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ここすき
この作品、キャラがくるっと回るシーンがちょくちょくあるんですよね。
この「回る」って動作を手書きで描くのはものすごく大変なんです。
それをあえてやるのは「こんくらい描けるようになっとけよ」という愛の鞭なんじゃないかと思うわけです。

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それからソナタたちは着てる服がちょくちょく変わります。
時には同じ話の中で変わることもあります(画像は全部第9話)。
これは時間経過を表す記号でもあり、彼女たちのファッション方面での日常感をだす演出でもあります。
#着替えた服はたぶん洗濯してるんでしょうね。脱水乾燥もしてるのかな?

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この点は3Dモデリングのほうが苦手とするところです。
他には汚れ服のしわなどは手書きのほうが優れています。
こういった細かい“表情”にこだわりたかったからこそこの作品は手書きを選んだのでしょう。


・トレビア

プリズムパールは

首にしなくてもいい


第8話でソナタたちはグラディスに出会ったとき、すぐには気づけませんでした。
それはトゥインクル・パウダーが体に合わず幼い姿をしていたからだけではありません。

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首にプリズムパールがついていなかったからです。
その代り足首についています。
ひょっとしたら地上で長く暮らすうちにプリズムパールなしでも発声する術を覚えて、邪魔になったからアンクレットにしたって可能性もありますがね。


・唐突な当たり前の日常
第12話にてソナタたちは常日頃から『シャボン』を歌って通りを泳いでいたことが判明しました。

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「そんなシーン今まであったかよ」
と疑問に思った人もいるようですが、よく訓練された『カラパレ』視聴者にはこれがエンディングのことを指しているとすぐにピンときたと思います。
ん? 何?「後付けくせぇ」だって?
どうやらイメージが足りないようですね(`・ω・´)

「なくて七癖」という言葉があるように誰にでも癖はあると思います。
そしてその癖は誰かに指摘されてはじめて気づくってことも多いでしょう。
恒常化されたものはもはや空気のように、それがあることすら気づけないレベルで当たり前になってきます。
つまり劇中で歌っているシーンが一度もなかったのは視聴者にとっても空気のように当たり前の事として受け入れてもらうための高度な演出なのです。
仮に歌ってるシーンを描いたら「何歌ってんねん」とツッコミを入れ、12話で静かになっていれば「なぜ歌わない」とツッコミを入れていたことでしょう。
これでは視聴者と登場人物との間に溝が深すぎるのです。

ん?まだ納得しない?
仕方ないですね。

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第1話にて喫茶店で談笑していたアルディはソナタたちの楽しげな話し声を聞いて中断してました。
そして店に入ってくる彼女たちに「学校は終わったの?」と話しかけています。
このようににぎやかな子供たちの声が時報代わりになっているという描写はしっかりされてます。
第2話ではひっそりと映写機のことを調べようとしているのにあっさりフェルマにばれました。
彼女たちの存在がいかに町中の注目を浴びているかを物語っています。

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そのあとも5人が映画館へ向かう姿を大人たちが見送るシーンが時間経過の演出に溶け込むように差し込まれています。
そのとき何をしゃべっていたのか、あるいは歌っていたのか、それすらもわからないくらい自然に溶け込んでいます。
当たり前の日常の空気が描かれているんです。


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マルトレの「いつもの目覚まし」というセリフが唐突に感じるのは、劇中の人物にとっても元気のないソナタたちが唐突に火が消えたように感じられたからなのです。
いつも歌っていることを指摘されて急に恥ずかしがるのは、我々視聴者にとっても唐突に明かされたと感じるのと同じように、ソナタにとっても唐突に打ち明けられたからなのです。
このように登場人物をより身近にシームレスに共感してもらうために第1話からじっくりと演出が仕込まれていたことがおわかりいただけたでしょう。
もうこれ以上グダグダ言いません。
イメージしろ!


・死と再生のテンプレート
物語の道が開けて、障害にぶつかり(死)、それを克服する(再生)という王道のテンプレートがあります。
多くの物語で使われてきたこのテンプレを『カラパレ』は踏襲しています。

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大海流によって閉ざされていた映画館への道が開け解体の危機に瀕するもセレナたちの努力の甲斐あって営業再開を果たしました。
またパーレルに来たロケ隊の撮影していた映画も壁にぶつかった主人公がもう一度夢を目指すお話です。
このようにこのお話は全体を通して丁寧に伏線がちりばめられています。
であるならばカノンの再結晶は「死」の象徴であり「再生」というフィナーレが待っているはずです。
カノンが再生するのに必要なものは何か?

死と再生で見逃してはいけない人物がもう一人います。
それは第7話に登場したチェルです。
チェルは歌を捨て田舎に逃げてきました。

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しかし逃げてきた先でもチェルは否定されどん底に落ちます。
#なんていうか死人に鞭打つようなこの言動。カノンはちょっとサディスティックなところがありますよね(´・ω・`) やっぱりアイドル育成機関は厳しいところなのかな??

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それでもチェルは復活します。
田舎の生活に触れ、歌で笑顔にさせることに喜びを覚えたころ、純粋に歌が好きだったころ、すなわち原点を思い出すことでリスタートを切ることができました。

チェルは一人で再生を果たしました。
それは歌姫と呼ばれるほどの実績実力がなせるプロの御業なのでしょう。

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対してカノンはあれだけ大見えを切っておきながらこの体たらくです。
それもそのはず。
カノンはオーディションを逃げてきた半人前なのですから。
自分一人の力だけではこの困難を乗り越えることができないのです。

第7話をただのゲスト回ではなく対比として使っているところに演出の妙があります。


・カノンの悩み
ようやく本題に戻れます。
カノンの結晶化を解くには彼女の悩みを解決しなければなりません。
その根幹はオーディションを受けることにあるのでしょう。

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アイドルがステージに立つ意義は第7話で大ベテラン相手に偉そうに説教を垂れた時点で分かっているはずです。
映写機の不調で音声が止まった時、みんなと一緒に歌った事からもわかるように歌が嫌いになったわけでもありません。
であるならば何をためらうことがあるのでしょうか?
視聴者の僕にわからないのだからソナタたちにもわかるわけがありません。

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答えを持ってきたのは都会からの刺客ヴェラータです。
ヴェラータはソナタたちよりもカノンのことをよく知っている母親のような存在です。
しかしパーレルでの生活でどのようにカノンが変化していったのかは知りませんでした。

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それもそのはず、手紙が届いてなかったのだから……。
#これって古典的な手法ですよね。亜光速で飛ぶ船にメール、あるいは戦地にいる人への手紙を送り続けるも本人のもとに届かず、後でまとめて開封されるという……。まさかこんなローカルな手段でやってくるとは思いませんでした。

手紙に綴られた想いとカノンたちが上映した映画を見てヴェラータが導き出した結論は「カノンの本音は5人で一緒にオーディションに受けたいが、それを言いだすことができないでいた」というものでした。
手紙のほうは劇中で読んでくれたのでわかりますが映画のほうはどのように解釈されたんでしょうね。
おそらく鑑賞したのは第5話で上映した作品でしょう。

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雲の上から降りてきた少女は海底で娘と出会い仲良くなる。

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楽しい時を一緒に過ごすが少女は郷愁の念に駆られる。

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二人は口論になってしまい、娘は思わず少女の傘を奪ってしまう。
片時も手放さなかった傘は少女にとっては体の一部。
国へ帰るための唯一の手段であったと思われます。

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雨に撃たれ涙にくれる少女に娘は傘をさしてあげます。
そして仲直り。
少女の手は傘ではなく娘の手を取っています。

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許し合った二人を祝福するように虹の架け橋が現れ、ふたりは雲の上の国へと行く。

とまあこんな感じの内容でしょう。
カノンは雲の上の少女に自分を、海底の娘にソナタを重ねているのは間違いないでしょう。
とっくにふたりは手を取り合える仲になっているとカノン自身もわかっているが、それでもまだ虹の架け橋が見えないのでしょう。
なぜそこまで臆病になるのか?
それはソナタが優しすぎるからです。

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第1話のころからソナタはカノンに気を使っていました。
カノンが答えにくそうにしていると話題をそらし、少しでも居心地よくなるように歓迎会を開いたりしてました。
カノンがパーレルに来たわけをアルディが教えてくれようとしたときも、本人の口から言えるようになるまで待つと言いました。
自分よりも他人を優先するソナタにはアイドルの厳しい世界でやっていくには荷が勝ちすぎると考えたのでしょう。
どのくらい厳しいかというと歌姫様が逃げてくるぐらい厳しいです。

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またパーレルには都会から引き揚げてきた人が多いです。
夢をあきらめたのか、ほかに優先すべきことができたのか、理由はわかりません。
ですが彼女らがパーレルのスローライフを満喫しているのは確かです。
たぶん都会でやっていけるのはヴェラータのような人なんでしょうね。
そんなやさしい村で育ったソナタやフィナ、セレナがヴェラータのようになるなんて想像もつきませんね。
……キャロならワンチャンあるかな?

ソナタのやさしさから離れたくない。
でも夢もあきらめたくない。
この二律背反した想いは結晶化を招きました。
これを解決するにはソナタと一緒に夢をかなえるしかありません。

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「オーディションに合格する」「カノンを守る」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「センター」のつらいところだな。
覚悟はいいか?
私はちょっと待ってほしい……。

真実を告げられてソナタは戸惑いました。
カノンの心配が的中したことになります。
ソナタのことをちゃんと理解している証拠でもあります。

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そんなソナタの背中を押したのはキャロでした。
「やってみなくちゃわからない」「友達だから力になってあげたい」
未知なるものにはドキドキが詰まっているというフロンティア精神に基づいた、実にシンプルな答えです。

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覚悟を決めた4人は映画館で『シャボン』を歌ってカノンの目覚めを促しました。
しかし小さなキネオーブは再生の負荷に耐えかねて粉々に砕けてしまいます。
ここでも死と再生のテンプレートが使われるのです。
今までにも様々な困難がありました。

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しかし今回は大人たちの助けはありません。
偶然による解決もありません。
今回だけは自分たちの力で乗り越えなければなりません。
音楽が止まった中でアカペラで最後まで歌いきる。
これはカノンに最後まで付き合うという覚悟の現れなのです。

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思い返せばこの小さなキネオーブはカノンの心そのものだったのでしょう。
花壇の隅に隠れるようにあったのはカノンのひそかな本音。
脆く、繊細で、そして小さな小さな、されど手放すことのできない悩み。
それを打ち砕いてくれたのはパーレルで出会った4人の友達。
無音になり、何もなくなった空間に響く歌の続き。
白紙を彩るような4人の歌声にカノンは未来を見たことでしょう。
そこに自分も加わり5色の歌声を響かせたいと強く願うことで固く覆われた結晶を、すなわち自分の殻を破ることができたのです。

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カラフル・パストラーレが誕生した瞬間です。


・人を魅せるものは?
バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~』は成長の物語です。
アイドル業界でしごかれトップスターを目指すのも成長物語だと思いますが、そういうのはバ〇ダイやKDKWがやってくれてるのでそっちに任せましょう。

アイドルという職業は人を魅了するのが本分です。
人を魅せるもの、それもまた「人」なのです。
『カラパレ』はのちにステージに立つことになる(そして君たちのお手元に届く)彼女たちの生い立ちを描いたライフヒストリーです。
すなわち彼女たちの人間としての成長に焦点を当てた作品なのです。

アイドルものだと生い立ちは回想程度に留まりあまり深く描かれることはないでしょう。
悩みや苦難もトップスターであり続けるための職業上のものに偏ってしまいがちです。
それだと視聴者キャラクターの距離はファンアイドルの関係になってしまうのです。

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ソナタたちの悩みはとてもささやかなものです。
しかし成長はとても大きいものです。
パーレルに来たばかりのころはおどおどしていたカノンも村の人とすっかり打ち解けていたりといろいろなところで成長が見れます。
視聴者はそんな彼女たちの隣人という距離感で成長を見守り、最後にはステージに立つ彼女たちを見送るのです。

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彼女たちならきっと大丈夫だろう、と。
やさしさに包まれたパーレル村でしっかりと心を成長させていったのだから……。


・最終話のツッコミどころ

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マンタには子供ができカプリ達も大きくなったのにポコは一切変化しませんw
まあカワウソだからこれ以上大きくはならないだろうけど。
#それともポコ2号なのか?

このツッコミどころには何か意味があるはずです。
何の理由もなく西村監督がギャグをねじ込むとは思えません。
あれから村が様変わりするぐらい時間は経過しました。
オーディションも一筋縄ではいかなかったでしょう。
それこそ当初ファンが望んでいたアイドルものが1クール書けるぐらいの苦労をしてステージに立っていると思われます。
けれども彼女たちの心根は村にいたころとちっとも変わっていない。
その象徴として変わらぬポコがいるんだと思います。
そしてテレビ中継を通じてあの頃聞いた彼女たちの歌声が村に響き渡るのです……。


ここまで読んでくれてるかわかりませんが最後までご高覧いただきありがとうございます。
このブログは一人のオタクがアニメの感想や考察を徒然と書き記したただの蛇足です。
たいした価値もありませんが読んでくれた人が新たな気付きを得て『カラパレ』をもっと好きになってもらえたら幸いです。

ソナタカノン、フィナ、セレナ、キャロの5人が収録された『ヴァンガード』のブースターが好評発売中です。
近くにカードショップのある方は昨今流行のキックスターターのつもりで買ってみるのもいいでしょう。
何かの間違いで二期ができ、アイドルとして活躍する5人が映った時には「ワシが育てた」と自慢できますよ(笑)


追記(21/09/29)
実は動画にしてました。
ブログ引っ越しを機にリンクを張っておきます。

『バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~』が見たくなるお話 - YouTube

バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~が好きになるお話

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それは誰も知らない遠い世界のお話。
辺境の海にある小さな村パーレル。
そこには5人の若きマーメイドたちが住んでいました。

 大人気TCG『カードファイト!!ヴァンガード』初のスピンオフ作品。多く語られることのなかった異世界の、それも根強い人気のクランバミューダ△”に焦点を当てたファン必見のアニメがついにきた!
 彼女たちの本物の歌声が、今、君に届く。


・僕にとっての『カラパレ』
と、前置きで思いっきり煽ってますが僕『ヴァンガード』やってないんですよね(´・ω・`)
その…TCGは性に合わなくて……。
なので完全アウェーです。
エンドカード「誰こいつ?いつ出るの?」って思いながら見てました。
先入観がないからこそ楽しめたのかもしれませんね。

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第1話のアヴァンタイトルで仰々しく紹介される「海洋国家・メガラニカ」
街の大ビジョンに映し出されるアイドルの姿。
鳴りやまないファンたちの声援。
「この子たちにスポット当てたお話なのかな?」と思わせておいてからの場面転換。

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まるで何事もなかったかのように片田舎で物語は進んでいきます。
このもんのすんごくぶん投げた感じに僕は何か引っかかるものを感じたんです。

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気になって監督を確認してみると西村純二と表記されてました。
頭の中で花火が咲きましたね。
ああ!グラスリップの人だ!

 


・クレイの海は俺の海!

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『カラパレ』でまず語るべきはツッコミどころの多さでしょう。
海の中にいるにも関わらずお茶を注ぐのは朝飯前
朝起きれば顔を洗うし、疲れたときはお風呂にも入ります
お台所には「何言ってるの?当たり前じゃん」って顔で流しがあります。
あまつさえ海底でも雨が降り珊瑚にはじょうろで水をやります。
ディスプレイの前の人は「そりゃねーよ」とツッコミを入れるでしょうが、そのたびに「うるせー!俺の海はコレなんだよ!!」という監督の強い意志を感じます。
さすが西村監督。男の中の男だぜ。

かくいう自分もツッコミを入れる側の人間です。
ですが同時に「これでいいんだ」と強く納得してました。
「海の中」という非現実を表現するのに必ずしもSF作品のような科学考証した世界を用意する必要があるのでしょうか?
作ることはできると思います。

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しかしこの作品で描かれているのは「世界」ではありません。
ソナタでありカノンであり、フィナセレナキャロといった個性豊かな「ヒト」を描くことこそがこの作品の主題です。
であるならば「世界」は「地に足がつく舞台」程度の役割があれば十分なのです。

#それになにより昨今はいんたーねっつの発展で小賢しく野暮なツッコミを入れる輩が増えたしな……。科学考証するくらいならゆるく作ったほうが楽だよね(´・ω・`)

そうなると文化も習慣も異なる異世界を作るのはいただけません。
登場人物に共感してもらうためにも我々と同じことをしてもらう必要があるんです。

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魚類だからと言って目をあけながらぷかぷか浮かんで寝るなんてことはせず、ちゃんとお布団で寝ます。
ひじきばかりではなく時には甘いものも食べます。

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マドレーヌなら味だってわかります。
ちなみにこのマドレーヌは箱から察するに都会で量産された規格品なのでしょう。
田舎暮らしのソナタたちにとっては珍しいお土産でもカノンにとってはなじみの味。
だけど初めての友達と一緒に食べるマドレーヌはどんな味がしたんでしょうね。
このような想像ができるのは彼女たちが「我々と同じ人間」だからなのです。


・ファンタジーいっぱい
共感するために同じ行動をさせるとはいえ、そこはやはり海の世界。
我々が決して行くことのできないファンタジーの世界がしっかりと描かれています。

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ひかる不思議な砂を満たしたおしゃれな街灯謎の言語。
光るクラゲはルームランプ代わりに使われてます。
極めつけはイワシストーム(イワシの群れ)に反射する光のイリュージョン。
これらは生活感を出す演出として最大限にファンタジーしてます。
しかしファンタジーだからと言っていい加減に作ってるわけではありません。

今日でも中世西洋風ファンタジー作品は多くあります。
それらの作品でたびたび気になるのがうまそうな飯が出てくることです。

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そりゃまぁまずそうに描くよりはうまそうに描いた方がいいに決まってますが豊富な食事を支えるにはその生産ラインが確保されていなければなりません。
特に物流は技術レベルに応じておのずと限界があります。
運送手段が十分に発達していない世界なら地産地消が当たり前になり輸入品は貴重になっていきます。
それこそ塩が給料の代わりになるくらい。
ですからファンタジー世界で豊かな食卓が描かれると気になって仕方ないんですよね。

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その点『カラパレ』はしっかりと描かれています。
パーレルの特産品はひじきです(あと珊瑚糖)。
サンドイッチにもひじき、パスタのソースにもひじきひじき!ひじき!ひじき!!
ひじきというワードが出てこない回がないんじゃないかというぐらいひじき押しです。
ちゃんと地産地消してます。

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それ以外のものはアザラシ郵便でまかなっているのでしょう。
このナイスガイは白い粉(小麦粉のことですよ)から人身(しかも2度も)までなんでも運ぶプロフェッショナルです。
パーレルの食卓は彼の双肩にかかってます。
こういう地に足の着いた世界観が僕は好きです。


・子供はどこからくるの?
ちょっと脇道それて身勝手な考証おば。

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この世界では同じ殻から生まれた姉妹のことを「シェルシス」と呼びます。
劇中でさらっと使われて深く説明されていませんが、どうやらマーメイドは貝から生まれるようです。
そしてマーメイドという名前が示すとおり女性体しかいないようです。
人口再生産はどうしてるんでしょうね?

これは勝手な憶測ですが海洋事故で亡くなった人の浮かばれない魂がマーメイドたちの元になるのではないでしょうか?
真珠貝は体内に異物が入るとそれを核に真珠を作ります。
それと同じように人魚貝*1に人の魂が入って新しいマーメイドになるんじゃないでしょうか?

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人語を介する海洋生物が普通にいる中でなぜ彼女たちだけが人間をつなぎ合わせたような姿をしているのか、その説明がつくと思うんです。

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となると事あるごとに抱き着く彼女たちの行動は人恋しさからなのではないかと思えてくるわけですよ。

え?なぜマーマンができずにマーメイドだけなのかって?
うるせー!そういう貝なんだよ!!

*1:便宜上そう呼ばせていただきます。公式の用語ではありません。


・お気に入りエピソードベスト3
3位:第6話「あなたの名前を教えて」

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映画館の掃除中に見つかった奇妙なキネオーブ。
それはビデオレターだった。
しかし再生してみると不思議なことが起こった……。


藤子・F・不二雄バリのSF(すこし・ふしぎ)なお話。
世界観が分かってきてキャラクターたちの歪な目個性にも慣れてきたころにぶっこんで来たトンデモ話。
この世界にはまだ何かあるのか!と思わせる一方でほんわかと切ない気持ちにさせるやさしいエピソードだったりもします。
フィナたちが将来を考えるきっかけとなる大事な転機でもあります。

“慣れ”は同時に“飽き”を呼び寄せます。
そんな視聴者を飽きさせまいと、まるで死角から矢を放つように予想外の展開をしました。
ヘタをすると視聴者を置いてけぼりにしかねないのにこの勇気あるぶっこみ。
さすが西村監督。男の中の男だぜ。

2位:第8話「それはね、靴っていうの」

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セレナ達5人は“塩ゼリー”なるものをもらいにお使いに行く。
その目的地は……なんと丘の上!
見るもの聞くもの触るもの、すべてが初めてのものばかりで
ワクワクドキドキハラハラが止まりません!


トゥインクル・パウダー」「プリズムパール」といった公式設定を回収した回。
まあ僕は「へぇ、そういうのもあるのか」と軽く流しましたけどね。
それよりも陸があり、船があり、海底以外の世界があることのほうが新鮮でした。

日常モノはついつい身近なところで小さくまとまってしまいがちですが『カラパレ』は世界の広がりをしっかりと見せてくれるいい作品です。
うっかりするとヴァンガード』であることを忘れてしまいますからねw
いいですか~みなさん~。ここは惑星クレイですよ~。
もう少し先まで行けばトカゲやら騎士やら魑魅魍魎が跋扈する世界なんですよ~。

1位:第12話「小さな光となって、輝いて」
執筆している時点(3/28現在)ではまだ放送されてませんが神回になることを保証します。
本作品のテーマは「成長」だと思います。

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マーメイドたちには親がいません。
なので子供は集落の共有財産であり同世代の子たちで共同生活を送ります。
この世界のマーメイドは長寿らしいのでソナタたちが具体的に何歳なのかはわかりませんが容姿から察するに幼年期の終わりなのでしょう。

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今までは大人たちに守られていた彼女たちの生活は映画館の出現により変わります。
大人たちのお手伝いではなく自分たちの仕事を見つけたのです。
修理から企画、広報、運営とすべて自分たちで考え1から作っていかなければなりません。
その達成感は彼女たちを大人へと成長させたことでしょう。
まだまだ危なっかしくて見守る必要があるけれども、彼女たちが自立する日はそう遠くありません。

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しかしカノンにはひとつ課題が残されていたのです。
逃避してきた過去との決着です。
さもないといつまでも殻に閉じこもって出れなくなります。
分かりました。あなたは世界を革命するしかないでしょう。

ソナタにできることは何か?
カノンは歌声を取り戻すことができるのか?
彼女たちの決断はいかに?
皆さん、ぜひともハンドタオルを用意してご視聴ください。


・監督について
当作品はスピンオフとはいえ元ネタ『ヴァンガード』の宣伝が目的でしょう。
それからこれは根拠のない想像ですが新人育成の側面もあるような気がしてなりません。
冒頭でも触れましたが“バミューダ△”というクランはファンの間では根強い人気があります。
どれくらい人気があるかというと短編とはいえ2本ほど漫画になっているぐらいに……。
宣伝育成ファンの期待という3種の重荷を課せられて引き受ける監督はそうそういないと思います。
西村監督と言えば80年代から活動している大ベテランです。
彼のような大御所でなければ前途多難なこの作品の監督は務まらんってことでしょうかね。

しかしまあよく引き受けましたよね。
これまた全く根拠のない身勝手な妄想なのですが「俺の好きにやらせてもらえるなら引き受ける」といった取引があったのではないでしょうか?
発表当初ファンの間で期待されていたのは「キャッキャウフフのアイドル路線」であったと思われます。
実際に1話2話あたりまでは「彼女たちがアイドルを目指すのかな?」といったたぐいのコメントを散見しました。
#5話になるころにはアイドルの“ア”の字も出なくなりましたがね(´・ω・`)

しかしご存知のように第1話でアイドル路線は踏み倒す勢いで否定され、悠久のパストラーレ(田園劇)が繰り広げられました。
勇気があるというか無謀というか、見ようによっては横暴ともとれるこの方針を貫けるあたりに監督の技量が垣間見えます。
それどころか「ファンの期待に応えるだけでは一流にはなれない」という矜持さえ感じられます。
さすが西村監督。男の中の男だぜ。

ブログでは随分と茶化した言い方をしていますが心の底からリスペクトしています。
『カラパレ』のおもしろさ、演出の妙、技法など書きたいことは山ほどあります。
しかしそれらをだらだらと書くのは無粋というものです。
興味が出てきたらぜひとも円盤を買って繰り返し見てください。
ポコタンは西村純二監督を応援しております。

(追記:19/03/28)
『カラパレ』の公式サイトにキネオーブ(円盤)の情報がないので気をもんでいたのですが、ひょっとして出ないんですか?
そういえば風のうわさでブシロード100%出資」っていうのも聞いたな。
え?マジなの?!
あまりにも信じられなくてドキドキが止まらないんですけど。
心不全カナ?

円盤よりも確実に収益を得る手段があるからいいってことですか?
3月29日発売のチーム「カラフル・パストラーレ」の収録されたエクストラブースター『Primary Melody』を買えってことですか?
#ちっ、しょーがねーな。踊らされてやるか……。

ストーリーのほうはヴァンガードchにて4月7日まで全話無料公開中なのでそっちを見てください。
特に「1話切りヨユー」とか言ってたやつは黙って観てください(・言・)

(追記:20/05/15)
今更ですが19/12/27に『カードファイト!! ヴァンガード スペシャルシリーズ第4弾 BD付きカラパレ サプライGiftBox VG-V-SS04』のおまけとしてBDが発売されました。
ボックスやスリーブで藤真拓哉先生のとってもかわいい絵が見れて大変満足なのですが……「本編もこの絵でやれよ(´・ω・`)」っていうのは禁句なんでしょうかね。
もっと注目されてただろう。
それともこの絵でやってたら作画崩壊ってオチだったかもしれない?